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聖母

「聖母?」 珍しくアレク様が思案気だから気になって、陽太さんと二人で話してるところについ顔を突っ込んでしまった。 「リシェには関連してるから話しておこう。」 僕を手招いてくれたから近付くと、当然のようにアレク様の膝に乗せられた。 「あっちー、暑い暑い!」 ゲンナリした顔で陽太さんが、手で顔を扇いでジェスチャーした。 「お前もう話済んだから帰っていいぞ。」 冷ややかにアレク様が陽太さんに告げると、「あー、嘘嘘!」と慌てた。 いつもの二人のやりとりに思わず小さく笑ってしまう。 「…今日も一段と可愛いな。」 「おかずにさせていだきます。」 「え?えと、有難う。」 二人の言葉は時折おかしい。 「あ、それで、聖母って?」 「ああ、つい話がそれるな。俺の中では聖なんて付くくらい清らかなのは…。」 「宇宙の発展・繁栄を促進してくれるんだって。聖母とその宇宙の長が結ばれて、それで産まれて来た子供達に能力付与される感じ。」 言いたくて我慢し切れなかった陽太さんの言葉を聞き、間違いは無いとアレク様が判定するように頷く。 「え…つまりそれは…。でも…。」 凄く重要な加護。 現状この宇宙の長は僕だから…。 「安心してくれ、リシェにそんな真似はさせない。」 アレク様が話し込んでたのはそれでか、と納得。 「あ、でも、アレク様なら僕と同等の権限を持ってるん……。」 ふと思い付いて口にして、途中で言葉を止めた。 それってアレク様が僕の代わりになるって事じゃないか。 自分で口にして嫌になる。 「やっぱりリシェでも気付くよな。」 落ち込んだ僕に気付いたアレク様は、僕を抱き締めてよしよししながら、陽太さんと顔を見合わせる。 成程、聖母の扱いじゃなく、僕がそれに気付くかを話し合ってたんだ。 アレク様の手に頭を擦り付ける。 いつも僕ファーストなんだよね。 有難いなぁ。 「可愛い!!」 「いいなー。リシェールはそこまでデレてくれないからなー。」 「あ、あれ?」 いつの間にか僕は抱き上げられ、寝室に向かっていた。

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