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アレク様の居ない世界

何も考えられない。 何かの間違い。 悪い夢。 アレク様は強いから…違う。 どんなに強くても、神の核は絶対。 壊れたらその身は消え去る。 僕自身が間違いなくアレク様が散ってしまうのを確認した。 現に…この世界のどこにもアレク様を感じない。 そういえばここはどこだろう? そんなことどうでもいいか、 どうやったら…アレク様の所に行けるんだろう……。 「ご機嫌よう、聖母殿。」 聖母?誰が? 僕はずっと泣いてたらしい。 もう僕の涙を止めてくれる人は居ないのだから。 「聖母、我が宇宙を発展させて貰おう。」 聖母?僕が? 『宇宙の発展と繁栄を促進』 「神を次々産み発展させているじゃないか。」 ああ、そうか。 だからアレク様は放っておいていいって…。 僕が男であるにも関わらず妊娠出来るのも、必然なのかな。 その時、一人の青年が部屋に入って来た。 僕は産まれて初めて人に対して殺意を抱いた。 さっきアレク様を滅ぼした青年。 「初めまして聖母様。闇の魔王の洗脳は解けましたか?」 「せん…のう?」 怒りが押さえられない。 僕は光の弾を青年に向けて放った。 青年はすぐに姿を消して、僕の後ろに姿を現す。 僕は咄嗟に完全結界を張る。 青年は先程の剣で、僕の結界を斬り裂いた。 神の自爆に耐えた結界を、いとも簡単に…。 「余り負担を与えない方がいいだろう。」 前々から居た男がそう言うと、僕は意識を奪われた。

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