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柚希と涼一の二回目の結婚式 2/3

「地球…日本。」 研究所の外に出て、リシェールは地球の空気を感じながら、何か思うように視線を向けていた。 「来れたね。」 リシェールは日に日に成長してるんだって、こういう時に感じさせられる。 「母上!」 感極まったリシェールが、強く僕を抱き締める。 この流れはまた喧嘩かな?と、止める言葉を考えてたけど…。 「…父上も、有難う。」 リシェールは視線をアレク様に向けて、素直にお礼を言った。 「お前の努力が実を結んだだけだろう。俺は何もしていない。」 珍しく二人はいい感じだった。 嬉しくて僕も微笑を浮かべた。 アレク様……涼一さんは毎年式場に予約を入れてたらしく、早くも二日後に式が出来るらしかった。 「涼一さんは再婚になるんだね。」 「あの頃の日本では法律上無理だったから、日本では俺も初婚だ。」 「海外行ってやったもんね。しかも今回は友達も家族も居ない。ちょっと寂しいね。」 あの時は姉さん他、結構な人数だったから。 「柚希の寂しさは、俺が埋める。」 「うん、そうだね。」 涼一さんが居てくれたら寂しくない。 気付かされて照れ笑いしてしまう。 「その表情は可愛いな。」 「涼一さん…。」 自然にキスの流れになり、唇を重ねようとした。 「で、これからどうするのだ?」 僕達の遣り取りを待ってたリシェールが、スマホを弄りながら声を掛けて来た。 リシェールは涼一さんにこめかみに拳骨をグリグリされて、理不尽だ!と怒鳴っていた。 昨日は早くにホテルで寝てしまった。 日本に来るために三人とも仕事をかなりのペースで片付けたからね。 相変わらず涼一さんは元気だったけど。 今日は出掛ける事にした。 明日は挙式で、リシェールは僕達を残して一日早く帰る。 リシェ=シェイネスとしては…初夜になるから、僕と涼一さんは一日泊まって……ね。 まずは遊園地。 リシェールと僕で乗り回して、涼一さんは僕らを撮影。 リシェールがあっちに居る時より幼く見えるのは気のせいじゃない。 年相応に楽しんでるのがわかる。 最後に観覧車に乗ったら、先にリシェールにキスされるというハプニングがあったけど(拳骨喰らってた)、楽しかった。 次に訪れたのはプラネタリウム…なのかな? 随分感じが変わってた。 一見バーチャル空間かな?と思ったけど…ゴーグルとか着けてないし。 地面が宇宙空間に居るかのように星空で。 横も上も同じく宇宙空間だと、少し不安になる。 セント・フリージアとは違う、地球の宇宙…。 涼一さんもリシェールも黙って眺めていた。 「…綺麗だね。」 「柚希の方が綺麗だ。」 「有難う。」 軽く笑ってしまう。 まるで宇宙に一人のように感じてしまって涼一さんに話し掛けたけど、やっぱり涼一さんが居れば僕はいつでも心が温かくなるんだなって再確認出来た。 そして挙式当日。 ウェディングスーツ…っていうのかな……衣装は僕が柚希の時の結婚衣装に似ていた。 「母上…綺麗です。」 「有難う。リシェールもきまってるね。」 リシェールも涼一さんが用意したブルーのスーツを着ていた。 「あっ……。僕が高校の時に着てた制服に似てる。」 「わざと似せてみた。」 後から部屋に入って来た涼一さんが説明してくれた。 あの制服は前世のリシェールも着てたから、涼一さんはきっとリシェールに着せてあげたかったんじゃないかなって。 「……私も、いつか高校に通ってみたい…。」 リシェールは目を伏せてそう言った。 「じきに行ける。」 涼一さんがリシェールの頭をくしゃりとしながら言葉を向けた。 リシェールは……前世を覚えてるのかな? 客の居ない挙式は簡単なものだった。 誓って、指輪の交換をして……キスの時だけリシェールが面白くなさそうな顔をしているのが見えた。 リシェールが式場から直接あっちへ帰るのを見送ると、涼一さんに抱き上げられる。 以前と違い僕も慣れたものだから、恥ずかしいとかは無い…けど。 いきなり涼一さんがキスしてきた。 こんな往来のど真ん中で! さすがに僕は真っ赤になってしまう。 きっとわざとだ。 「顔を赤らめる柚希は俺の好物の一つだからな。」 「意地悪……。」 片頬を膨らませて恨めしそうに涼一さんを睨むと、涼一さんは嬉しそうに、懐かしむような様子で僕の頬に吸い付いた。

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