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後編

 朝起きると頭を撫でられていた。この人はおれの頭が好きなのだろうか。なにかと撫でられている気がする。  まだ目を開けたくなくて寝たふりをしていると、甲田さんの手が頬に移動した。  困った、頬ずりをしたくなってしまう。口角を上げないように我慢していると、甲田さんはおれの唇に触れた。感触を確かめるようにふにふにと押され、思わずおれは目を開けた。 「……起きてたのか?」 「あの……はい」 「……悪い、忘れてくれ」  無理です、と俺は甲田さんの手首をつかんだ。 「どうしておれの唇を触ってたんですか」 「いや、つい出来心だったっていうか……」  すまん、と謝られても無駄だ。甲田さんに触られるのは嫌じゃない。おれは相手の唇に顔を寄せた。軽く口づけると甲田さんは顔を背けた。 「……駄目ですか?」 「……あとで後悔するぞ」  しません、とおれは甲田さんを組み敷いた。 「この衝動は義務感じゃないと思うんです。おれは甲田さんとやりたい」  深く口づけると甲田さんは吐息を漏らした。舌を絡めると声を上げる。もっと欲しい、とおれは夢中で舌を動かした。  水音が部屋に響く。口を離すと唾液が糸を引いた。甲田さんの目は蕩けて頰も赤くなっている。 「……もう好きにしろ」と甲田さんはこちらを見た。求め合うようにして口づける。口の端から唾液が溢れていくのもかまわずに、おれはキスを続けた。 「っは、ん……っ」  おれは首筋に舌を這わせた。汗の味がする。喉仏を舐めると、甲田さんは声を漏らした。 「あ……っ」  下半身に固いものが当たる。もうこんなに、とそれにおれは手を伸ばした。 「っ、智嗣……!」  甲田さんのものは既に固くなっていた。上下に擦るとびくびくと震える。 「は……っあ……」  先端から出てくる液を指に絡ませる。それを孔に塗り込むと、甲田さんは背中を反らした。 「や……っ、ん……」  おれは指の数を増やしていった。根元まで入れていくと、内壁が絡みついてくるのが分かる。もういいだろうか、とおれは自らのものを取り出した。 「あの、嫌だったら言ってくださいね」 「この状況で断れるわけないだろ……」  いいから挿れろ、と甲田さんは自ら腰を押し付けてきた。おれは我慢できずにそれを挿れる。 「あ……っ、くっ……」  息を漏らす甲田さんの顔は苦しげだった。 「……やっぱり抜きましょうか」 「大丈夫だから早く……っ」と甲田さんは欲にまみれた顔でおれを見上げた。 「……なるべく痛くないようにしますから」  ゆっくり中に挿れていく。中は熱くて、絡みついてくるようだった。 「ん、あ……ッ、は……っ」 「……動きますね」  腰を打ち付けると甲田さんは甘い声を漏らした。 「……っあ、んっ、あぁ……ッ」  おれは夢中になって腰を動かした。奥まで突くと、甲田さんは一際大きな声を上げた。 「んあっ、あ、そこ……ッ」  締め付けが強くなる。そこを重点的に突くと、甲田さんは目に涙をためた。 もっと気持ちよくなってほしい。その一心で腰を動かすと、中が痙攣し始めるのが分かった。 「あっ、んッ、あぁ……っ」  甲田さんは白濁を吐き出した。中が激しく締まり、おれも達してしまいそうだった。 「甲田さん……っ」  最後の一滴まで中に注ぎ込む。おれは呼吸を整えてからゆっくりと引き抜いた。どろりとした精液が漏れ出る。 「すいません、優しくできなかった……」 「本当だよ」と額を指ではじかれる。 「嫌いになった?」 「馬鹿、嫌いになんかなんないよ」  甲田さんは笑って頭を撫でてくれた。体で繋ぎ止める方法は効果的かもしれない。

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