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「もう無鉄砲なことはするな」  ジェレミーは口を離すと、冷たく囁いた。 「私が間に合わなかったら、撃たれて死んでいたぞ。捜査官なら、慎重に行動するべきだった」   「――俺に説教するために居残ったのか」  トラヴィスも低く言い返した。甘く舌を絡めあったキスの香りなど、唇にも残っていないような剣呑さだ。 「俺はお前の部下じゃない。説教したければ、他をあたれ」   腕を振り払おうとしたトラヴィスを、ジェレミーは強い力で押さえつける。 「お前を死なせないためなら、たとえお前の頭が怒りで丸焼きになろうとも全く構わない。詰ろうが貶そうが、好きにすればいい。その権利はお前にある」  そう言うと、また口を塞ぐ。トラヴィスを押さえつけながらの喰いつくようなキスだった。 「……ジェレミー……」  トラヴィスは首筋を舌で這われ、肌が震える。 「お前……急いで帰らなくていいのか……」  着ていたシャツの胸元を大きく広げられ、味わうように舐められてゆく。厚い胸板で突起している乳首も舌の先で触れられ、トラヴィスは小さく声を洩らした。 「アリスンは私を呼びつけたかっただけだ」 「愛されて……いるな」 「彼女が愛しているのは権力だ」  ジェレミーはトラヴィスを優しくベッドの上に寝かせた。それから上着を脱ぎ、ネクタイを緩める。 「今日は大変な一日だった。今夜はもう寝よう」   トラヴィスは傍らで全ての服を脱ぐジェレミーを黙って見上げた。 「お前の裸を見ながら寝るのか?」 「そうだ」  均整のとれた肉体が露になった。ジェレミーはトラヴィスの上に馬乗りになり、手を伸ばしてシャツのボタンをほどく。 「お前は怪我をしている。そんな時に、やれないだろう?」  シャツは前だけをはだけたままにして、手際よくズボンやトランクスも脱がし、トラヴィスの下半身が剥き出しになる。 「もう感じているのか?」  勃っているペニスにからかった。 「悪かったな。目の前でストリップショウなんかするな。余計に寝られないだろうが」  トラヴィスは思いっきり口悪く言ってやった。  ジェレミーはそんな戯れ言も愉しいかのように、軽く頬にキスをする。 「わかった。それじゃ寝かせてやろう、お坊ちゃま」  トラヴィスの足を押し広げると、その間に顔を埋めた。そして、晒されていたペニスを口に含んで、ゆっくりと愛撫をはじめる。  トラヴィスは呻いて背中で仰け反った。反射的に足が動いたが、ジェレミーがその自由を奪った。自然に立て膝になって、両手でシーツを掴んだ。  ジェレミーは自信たっぷりに、そして容赦なく、トラヴィスのペニスを吸いあげるように舐めてゆく。 「……ジェレ……ミー……」 「……どうした? お坊ちゃま」  トラヴィスは何事か呟いた。だが聞こえてきたのは、熱い喘ぎだけだった。 「……出していいぞ、トラヴィス」  やがて、ジェレミーは顔をあげて囁いた。トラヴィスのペニスは、弾けそうなほどに膨らんでいる。  トラヴィスは身をよじった。言われなくても、自分のなかの卑猥(ひわい)な欲情は外へ解放されたがっている。 「……我慢するな」      ジェレミーは片手でペニスに悪戯をした。すぐにトラヴィスが敏感に反応する。 「……駄目……だ……」 「大人しく出せ。変なところで、強情だ」  再び、舌と唇で奉仕をはじめる。  トラヴィスはシーツを強く握りしめた。もう堪え切れなかった。  愛撫されていた先端から、精液が流れ出る。それはジェレミーの口の中を汚し、シーツを濡らした。  トラヴィスは力がぬけたように、ベッドの上に全身を投げ出す。  ジェレミーは自分についた精液を腕でぬぐいながら、上半身を起こした。サイドテーブルにあるティッシュを取り、自分の口を拭いた。さらに数枚取って、トラヴィスのペニスも拭く。随分と濡れていた。 「眠たくなったか?」  トラヴィスは肩で息をつきながら、自分を頭上から覗き込む恋人をじろりと見た。 「……これで寝られたら……ただの阿呆だ」 「そうだな」  ジェレミーは笑って、トラヴィスの横に寝転んだ。 「今夜はこれで終わりだ。怪我人をこれ以上興奮させたくない」  トラヴィスを抱き寄せ、包帯の巻かれた頭を優しく撫でる。 「……お前のせいで、俺のはしばらく突っ立ったままだぜ」 「私のもだ。今、ありったけの理性を総動員して、怪我人を抱かないように頑張っているんだ。この努力を誉めて欲しい」 「お前も変なところで強情だな」  トラヴィスはおかしそうに笑った。  ジェレミーはそのガーゼと絆創膏がトレードマークになった顔に、甘く口づけをする。 「その代わり、明日の朝目が覚めた時に、必ずそばにいる。だから、安心して目を瞑ってくれ」 「ふん、お坊ちゃまは添い寝してくれないと寝られないからな」  トラヴィスは茶化すと、ジェレミーの頬に手を添え、逆に唇を奪う。二人は互いに抱き合い、求め合うようにキスをしあった。  そのうちに、トラヴィスの右手が身体の線を這うように下りていき、猛り立っている恋人のペニスを掴んだ。 「……お坊ちゃまは、添い寝だけじゃ寝られないんだぜ?」  耳元で囁く。 「トラヴィス……」 「俺を抱きたくないのか?」  挑発的に言った。  ジェレミーは鼻先で大胆に誘う恋人の捜査官を、まるで言いつけの聞かない生徒を叱るかのように見つめた。だが、その表情は徐々に不敵に変わってゆく。 「もちろん、抱きたいに決まっている」  声がかすれたのは、トラヴィスの悪戯のせいだ。 「じゃあ、抱けよ……遠慮するな。俺はお前に抱かれたいんだ」  トラヴィスは無邪気に誘惑する。  ジェレミーはゆっくりと口許で笑みを広げた。それが返事だった。  トラヴィスを仰向けにすると、その上に覆いかぶさる。 「……興奮しすぎて、怪我が悪化しても、文句を言うな」 「文句を言われるために来たんだろう?……思い切り悪態をついてやるぜ」  そうして、二人は愉しげに笑いあった。

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