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第六話⑩

「ん……あ……あ……」  熱に浮かれたような喘ぎを洩らす一成に、榮は唇を重ねて声を奪う。  二人がいる寝室はストーン色のドレープカーテンで閉め切られ、誰も立ち入ることができないような暗闇に閉ざされている。その秘密めいた気配を(あお)るように、ねっとりとした匂いと生々しく乱れる声が冷たい床に落ちて散らばる。  一成はシングルベッドの上で仰向けに寝かされている。衣服は全て脱がされた。全裸となった肌は燃えるように熱く、しっとりと汗ばみ、恥部(ちぶ)に喰い込んでいるペニスをもっと激しく感じたいと、自らも腰を動かしている。  榮も露わな肌を(きら)めかせて、一成の上から身体を重ねて抱いている。繰り返しキスをしながら、左腕で一成の右足の膝を折り曲げて持ち、押し開いた恥部にペニスを挿入(そうにゅう)させて、絶え間なく貫いている。 「……ん……んっ……」  一成は唇を塞がれて、喉で声を呑み込む。熱いセックスは自分の身体に記憶させられていた興奮と快感を呼び起こした。理性と自制心ではなく、身体が求める性欲に一成は従う。 「……ああ……」  榮はようやく唇を離した。動きもとまる。 「……先生」  一成は呼吸を荒げながら、榮の息遣いを感じる。榮も一成の耳元で息を整えている。 「どうですか……俺の身体は」  大人になった自分の身体を抱いてどう感じているのだろうかと、聞いてみたくなった。 「素晴らしい」  暗闇の中で、榮が満足そうな微笑を浮かべているのがわかった。 「高校生だった君は愛すべき肉体の持ち主だった……今の君は抱かれるべき肉体になった」  一成の耳に口づけをする。 「荒々しく抱いて、甘く奪う。肉食獣のように交わり、濡れて汚れあう。魂を満たして、陶酔(とうすい)の沼で果てる――」  ()めるように囁く。  一成の頬が炎で(あぶ)られたように赤くなった。自分を煽っているのがわかって、下半身が(うず)く。くそっ。だが、もう後戻りはできなかった。  榮はするりと上半身を起こすと、右腕でも一成の足を持ち、両方の足をさらに押し広げて膝を曲げて立たせる。 「どこまで君が頑張れるのか、私に教えて欲しい」  一成は剥き出しになった恥部に唾を呑んだ。シーツに背を押しつけて息を荒げる。恥部には榮のペニスが奥まで入っている。感じる。  榮は両手で一成の腰を掴むと、激しく貫き始めた。 「あっ!……あ!……ああ! あっ! あう! あっ……」  貪欲(どんよく)にペニスで(えぐ)り突かれ、一成は背を反らして手でシーツを掴む。 「うっ……ああ! はっ……あっ!……」  気を失うまでそれは続いた。 

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