81 / 114

第七話⑨

 一成は電流が(はし)ったように背中を()け反らせる。 「あ……ああ……」  榮は立ち上がって片手で一成のペニスを掴むと、たっぷりと(しご)く。ペニスの先は白濁が溢れて掴んでいる手も濡れるが、榮はまったく気にもならないようで動きを止めない。 「いい()だ」  手にあるぺニスを(もてあそ)ぶ。  一成は強く奥歯を噛んだ。榮の言い方がひどく(かん)(さわ)る。自分を子供扱いしているのがたまらなく嫌だった。だが、そうさせているのは自分なのだと視線がさまよう。 「気に入らないのか、一成」  笑いを含んだ榮の言葉が耳の中に入り込む。 「私のセックスに不満があるのなら、言いなさい。私に抱かれているその身体で」 「……先、生……ああ」  一成は身体をよじる。ペニスを掴む力が荒々しくなる。興奮の度合いも強くなっていき、恥部が欲するように(うず)く。 「何も……」  一成は観念したように濡れた唇を閉じた。不満があるのは俺自身にだ――両足をさらに広げて、右足を手前にあげる。  榮は軽く目尻をゆるめた。徐々に手の動きを優しくしてペニスを離すと、左腕を回して下から一成の右足の膝を抱え込む。 「君の不満はよくわかった」  一成の胸元に身体を押しつけて壁と挟むようにして支えると、恥部に自らのペニスを触れさせる。 「俺は……不満なんてないです」  一成は酔ったような口調になる。 「……ただ、眩暈がしているだけです……貴方に抱かれて……」  ――そうだ、俺は酔っているんだ。一成は冷ややかな自分に言い訳をした。自分でもどうしようもない気持ちが眩暈するほどに。貴方に、酔っている―― 「そうか」  榮は優雅に目を細めた。それから、恥部にペニスを押し入れた。 「うっ、あ、あ……」  一成は壁を背にして、腰を動かす。ペニスは恥部の中を間断(かんだん)なく突いて、一成を激しくさせる。  榮は左手で一成のくびれた腰を掴むと、もっと秘部の奥を(えぐ)るように貫く。 「あっ、あっ、ああっ……あ」  一成の声は千々(ちぢ)に乱れる。床についている左足は小刻みに震えて、何とか肉体を支えようとする。その側の床に恥部から白濁がぽとりぽとりと垂れ落ちて、生々しく匂う。 「ああっ、あっ、あ……う……あっ……」  腰の動きが激しさを増す。  榮は一成の肉体を(むさぼ)りながら、その首筋に顔を寄せて唇を這わせた。 「泊まっていきなさい……今夜はもう帰れないだろう」  これほど感じているのだからと、抱えている右足を広げて、感じやすい秘部をペニスで荒く突いていく。  一成は声をあげて息を乱しながら、かすかに頭を振った。自分の肉体が何を欲しているのか、自身が一番わかっていた。

ともだちにシェアしよう!