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第24話(END)
今度はメアさんも満足と反省はしたのか、ベッドや部屋の汚れを片付けるのを手伝ってくれた。
そうして、狭い浴室へとメアさんを押し込んで共にシャワーを浴びる。
「……ねぇ、昨夜みたいな状態で媚薬の魔法使ったら、どんなことになるんでしょうか……」
「さあな……少なくとも、琢朗は三桁は絶頂するのではないか」
「そっ、そんなに……!?」
少し試してみたい気もするけど、たぶん時間が足りないし、お互い喘ぎまくりで隣人に壁ドンされるならまだ良くて、大家にでもチクられたら。
もしするなら、長い休みをとれる時に、どこかに泊まって一歩も外へ出ずセックス三昧……ならいいかも。
「想像したか? 俺様との長時間媚薬セックス」
「う…………は、はい」
「では近いうちにやろうではないか、琢朗」
「いや、でも、俺仕事が……うち結構なブラックだし、有休とかも取りたくても取れない感じで……特に上がクソなんですよねぇ。はぁーあ、今日も平日なの忘れてた……」
って言っても、メアさんに現代の会社という組織は馴染みがないだろうけど、愚痴らずにはいられない。
安月給にサビ残の社畜生活では、これからメアさんと不思議な同居をするにしても、体力がどこまで追いつくかわからないんだから。
「ほう……民の上に立つ者は、いつの世もそんなものだ。格下と判断した者をこき使い、自分だけ良い思いをする。琢朗が置かれている状況も、同じようなものと考えてよいのだな?」
「え? あぁ……まあ、そんな感じ? ですかね」
「それなら簡単だ、夢魔の力を舐めるなよ。他のサキュバスにその上の者や周りの者を搾り尽くさせる。そうすれば皆疲れて休みやすくなる」
まあそれで会社ごと潰れたら俺もこの歳で再就職しなきゃいけなくて、最悪路頭に迷うことになるから困るんだけど、ちょっとは鼻っ柱を折ってやりたいからな。
上司や、もっと偉い役員らが人間に扮したサキュバスとラブホテルに入る姿を奥さんが見たら、きっと泥沼になる。ざまぁみろってんだ。
「な、なるほど! メアさん天才! 最高だっ!」
「お、ぁッ……こんなところで転んだらどうする、馬鹿者がッ……。はぁ……」
狭い浴室だから自然とメアさんの背中にくっ付く形になるけど、今のメアさんは本気では怒らない。
気にしていないというより、昨夜のが良すぎて……メアさんも「一方的な搾取」より「愛あるセックス」の方が効率が良いと考え直しているのかもしれない。
全然タイプでもない大柄な男の夢魔にたまたま狙われてしまった俺だけど、お互い好きだってわかって。
身体の相性も良いし、絶対に逃げない逃げられない。
終わり良ければ全て良しって感じかな。
「フ……しかしこれで、もうしばらくは自慰などできん身体になったであろう? そうでなければ、俺様が搾り取る精子が減ってしまう……」
「なに言ってるんですか! 俺、今度からはメアさんのこと考えてオナるんで! それに、俺抜きまくってもいっぱい濃いの出ますから! 心配ご無用です!」
「……心配するのは貴様の頭の方であったか」
ビシッと親指を立てて自信満々に言ったはずなのに、メアさんも俺のことを生涯離さないと言ったはずなのに。
しばしの間俺を蔑むように目を細め、温水を頭から被って深く深くため息をついていた。
クーリングオフ制度は受け付けてないんですけど!?
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