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V.S 20
ガキに叩かれたことは、自分でも驚くくらいショックだった。
僕は散々ガキに酷いことをしてきた。
肉を食いちぎり、犯したり、手足を折りながら犯したり・・・したことがないなんて言わない。
欲しくてたまらなくて、いくら犯しても犯し足りなくて・・・傷でもいいから刻みつけたくて。
苦痛でもいいから感じて欲しくて。
僕でいっぱいにしたくて。
でも、ガキは許してくれた。
いつだって。
でもガキが僕を叩くなんて、僕は一度だって考えたことはなかったんだ。
どんなに僕を求めていても、ガキは傷つけるようなセックスなんかしない。
ひたすらひたすら甘やかしてくれるだけなのに。
そして気付いた。
この世界で、僕に優しくしたい、甘やかしたいなんて思うのはガキだけなのだ、と。
そのガキに叩かれたことはショックだった。
何にも考えられなくなる位に。
そして怖くなった。
僕は、僕はこんなにもガキを信じていることに。
僕は想像もしてなかった。
散々ガキに酷いことをしている自覚はある。
止める気もなかったりする。
可愛いからだ。
でも、一度だってガキが僕を傷つけるなんて・・・ほんの一瞬でさえ考えてなかったことに気付き、僕は恐怖した。
「彼」は別だ。
ただ一人愛した彼。
一緒に育った彼は、DNAとかの話を別にしても(DNA的には同一人物だしね)、「僕」と「彼」の境目は曖昧なところがあった。
僕は彼。彼は僕でもあったのだ。
でもガキには、僕がガキをそこまで信じる根拠なんて一ミリもないのだ。
でも、僕はガキを信じてしまっていた。
いつからか、本当に。
怒られてしまうから、僕がガキにバレてはいけないことは隠そうとはしてしまうけど・・・、僕はガキが僕を裏切るとか傷つけるとか、全く考えていなかった。
叩かれた瞬間それが分かってショックだった。
そして、泣けた。
僕にはお前しかいないのだと思い知らされたからだ。
お前だけなんだ。
この世界に。
酷い。
なのに、僕を叩くの?
僕を傷つけたらだめだ。
お前だけが、生きている人間の中でお前だけが僕を傷つけないと僕は信じてしまっているのに。
信じさせてそんなことするのは酷い。
酷すぎて泣いた。
泣いたら必死で抱きしめられて、余計切なくなった。
僕にはこの腕しかないのだ。
ないのに。
ないようにさせておいて、叩くなんて酷い。
「ゴメン・・・ゴメンね」
その声にも泣ける。
殺して欲しい。
僕以外の全部。
お願い。
「オレ達が殺すのは・・・【正義】のためだろ」
ガキの言葉は残酷だ。
なのにそうしてくれないからだ。
僕はお前を愛してやれない。
でもお前しか信じてない。
お前を酷い目に合わせても、お前を手放せない。
でも。
でも。
ああ、でも。
少しだけ。
お前が僕のために友達を殺してくれるって思いたい。
思いたいんだ。
いいだろ?
大体僕が正義の味方なんてやってんのは・・・。
お前のためだけだ。
ガキのお友達はガキを殺すつもりで鉈を振るう。
コイツは本気だ。
僕の銃を避けただけのことはあって、いい動きだった。良い動きだな。本当に。
ガキを喰ったからか、余計に良く動けていた。
でも、ガキはその動きに迷いはなかったけれど、でも、殺しに行こうとはまだしてないのがわかった。
でも、殺すんだな。
それはわかった。
わかったんだ。
お前はコイツを殺してくれるだろう。
でもそれは・・・僕に殺されるよりはマシだと思って殺すんだろ?
せめて自分の手で。
そう思って殺すんだろ?
それはおそらく、お前のお友達もそうなんだ。
自分が殺した方が。
せめてこの手で。
なんだ、それ。
どんな両想いなんなわけ?
酷い。
ひどすぎる。
嫌だ、酷い。
そんなの・・・許せない。
だから、僕は見るのを止めた。
止めることにした。
全員殺してやる、そして人質を解放してやる。
正義の味方として。
そして、殺したソイツの死体の隣りで、ガキか頭からソイツのことを何もかも消し去るまで犯し続けてやる。
頭をつぶしてきりきざんだ死体の目を見つめながら、イカせ続けてやる。
お前は何回続けてイケるかな。
僕しかいないことを教え込んでやる。
だって酷い。
酷いから。
僕を叩いた上に、ソイツのためにソイツを殺すつもりだったんでしょ。
もう、いい。
いいんだ。
僕の右手が刀に変わっていく。
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