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第1話
どうしてこうなったんだろう…………
どこで道を間違えたんだろう………
きっと僕が生まれた事が間違いだったんだ。
女みたいに華奢な身体と肌の白さ。
女みたいに肩まで伸びた髪。
おまけに名前まで女みたいだ。
………でも、アキに呼ばれる時だけは、この名前も悪くないと思えた。
「奈津 」と呼ばれると、僕の心臓はいつも煩いほど高鳴っていた。
僕はいつからアキが好きだったんだろう…
幼馴染の僕達はいつでもどこでも一緒だった。
名前や見た目のせいで僕はよく虐められたけど、その度にいつもアキが助けてくれた。
「ごめんね」と言うと、
「奈津は僕の大切な人だから」と、いつも笑って頭を撫でてくれた。
同い年なのに大きい手。
温かくて、アキに触れられると安心できた。
いっぱい助けてもらったのにごめんね。
最後まで自分勝手でごめん。
本当は最後に一目でもアキに会いたかったな…
…………でもそれも叶わない。
僕はこの世界で生きる事に疲れたんだ。
ごめんね、アキ。
ばいばい……………
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