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第8話

 スマホのアラームが鳴って目が覚めた。朝だ。1回まともなプレイをするだけでこんなに寝覚めが良くなるものかと思いながら起き上がって伸びをする。  今日は休日だが、ここは家ではなくプレイバーだ。余計な料金を取られないためにも、チェックアウト時間を過ぎるわけにはいかない。  近くでもぞもぞと霞が目を覚ます。こう見ると本当にαにもDomにも見えない。子供みたいな顔だ。 「あ…そうだ、ここで泊まってたんでしたっけ。おはようございます、あとお金も…」 霞がこちらをまっすぐ見て頭を下げてくる。 「それはもういいって言っただろ、俺の方が金あるんだし。おはよ、眼鏡は…ってそういやあれ伊達だよな」 「ああ、気づいてました?別に僕、視力が悪いわけじゃないんですよ。グレアが強くなるって言われて買ったんですよね、あれ」 「詐欺じゃん」 「はい、全然効果はなかったんですけど…でも藁にもすがりたくて、ここに来る時はいつも付けてたんです」 「だったらもう要らないよな?俺がいるわけだし、付けない方がかわいいし」 「ええ…かわいいって…いや、まあ、不要なのは確かですけど…」 「あと髪切ったら?普通に邪魔じゃん」 「それは…前にグレアも出せない奴って言われてから目を出したくなくて…」 「あー…それは、次そう言われたら教えて、俺が殴る」 「暴力は駄目です!」 「うーん、お互い学生だから俺がいつもついてるわけにもいかないしな…」 「学校行ってたんですか!?」 「なんかお前、俺に対しての偏見酷くない?こんな見た目だしめちゃくちゃ遊んでるけど学校には一応行ってるから」 「自分でそういう風に見せてるんじゃないですか」 「それはまあ、そうだよな…ちゃんとしてた方がいい?」 「うーん、別に嫌い、じゃないですし、好きでやってるなら止めませんけど…」 「じゃあこのままでいっかあ、なんとなくで染めたけど、割と気に入ってるんだよな、これ」  髪をいじりながら希が呟いた。  霞は別れ際にも何度もお辞儀をして去っていった。希はそれを見ながら、今度はいつ会おうか、と頭の中で計画を立て始めた。

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