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第9話 ※
それからも希と霞は何度かホテルで会ってプレイを重ねた。霞も慣れてきたのか少しずつ大胆になっていった。とはいえ服を脱いで 体を見せる とか、腹を見せた 希の体を撫でるとかそれくらいだったが。
しばらくするうちに希は欲求不満になっていった。プレイ欲の方ではなく、性欲の方だ。
最初に会った時の言葉通り霞はプレイバーに来なくなったが、希はプレイのためではなく男と寝るために未だにプレイバーに通っていた。体格のいい男に(希が本気を出せばすぐ振り解けるが)押さえつけられながら犯されるのは希のお気に入りのはずだった。それなのに、そんなセックスの最中もあの小さな体のαとヤるのはどんな感じだろうと想像してしまうことがだんだんと増えていた。
「なあ、やっぱり1回ヤってみねえ?」
希は霞のペニスを舐めながら 尋ねた。ちなみにどうせ舐めるのだからとねだってコマンドを出してもらったのである。
「やっぱり、ってなんですか…」
「お前としてみたい」
「しかも好奇心…」
「1回だけだから、1回」
「僕がそれで頷くと思ってるんですか?っていうかちゃんと舐めてください…よっ!」
「んぐ!?」
突然頭を掴まれて喉奥まで突き込まれた。
いくらこっちが慣れているとはいえ、いきなりイラマはきつい。抗議の意図を込めて見上げると、ぼやけた視界の向こうで霞が嗜虐的な笑みを浮かべた。いつもおどおどしている霞がそんな顔するんだ、と思う間もなく、何度も何度も突き込まれる。
「どうせ、他の男とっ、同じ感覚なんでしょ?『こいつと寝てみたらどんな感じだろう』って…!」
「違う」と何とか伝えようとして、否定できない自分にぞっとした。もしかしたら、そうかもしれない。でも、違う、違うはずなのだ。そう言おうとしても、口が塞がれていて喋ることも出来ない。霞がまだ何か恨み言を言っていたが聞く余裕もない。あれ、どうやって息すればいいんだっけ、吐きそう、ヤバい、また。
「…っ、すみません!ごめんなさい !」
慌てた声と共に突然口から引き抜かれ、同時にコマンドも解除された。その場でぜいぜいと息をする。霞が背中を撫でた。心配しているというよりは、他にどうしたらいいのか分からないといった感じで。
「ごめ、撫でると、出そ、」
今にも戻しそうな状態でなんとか伝えるとぱっと手が離れた。その代わり、「ごめんなさい」と震える声で何度も謝られた。
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