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こんな感じなので、当然お祭りもみんなで行くことになる訳で。
いや、オレだって最初はみんなで行きたいって思ってたはずなんだけど。
初夏、キツくなってきた日差しと、上がってきた気温。濃くなった緑と影。長くなった1日。
「えー、今日の帰りに例大祭に寄って行く人は、くれぐれも他校と揉めたり、遅くなりすぎたりしないように」
その、どの程度の抑止力があるのか分からない担任の言葉を聞き流して、オレは密かにため息をついた。
みんなでお祭りに行くのは毎年の楽しみだった。
別に目新しいことがある訳じゃない。それでも毎年邦貴たちと、小遣いを握り締めてお祭りに行った。
母は今朝、普段の小遣い以外に二千円渡してくれた。
今日の晩飯はお好み焼きか、たこ焼きか。
…なんでイマイチわくわくしないんだろうなぁ…
「知希、どうかした?」
肩をポンとたたかれて、ハッとして目を上げた。
「あ、桐人。ううん、別に」
オレの方に少し屈んだ桐人が「うん?」と言うように首を傾げた。
その顔を見て、やっぱり少しドキドキした。
わくわくしない理由は、なんとなく分かってる。
オレは本当は…
「知希! ぼんやりしてねーで行こうぜ」
桐人の反対側から、邦貴がガバッと抱きついてきながら言う。
見上げていた桐人のメガネの奥の目が、驚いたように見開かれた。
「分かった、分かった。行くから。暑苦しいなぁ、邦貴」
スキンシップ多めの邦貴に、桐人は慣れないのかもしれない。
桐人の友人関係は、そういうわちゃわちゃした感じじゃないから。
邦貴に抱きつかれたまま、よいしょと立ち上がる。
「チャリ、神社の横に停めれっかなぁ?」
「まあ大丈夫っしょ」
そんな話をしながら、邦貴に肩を組まれて昇降口へ向かった。
桐人は高橋たちと、オレたちの後ろを歩いてきていた。
神社に着いて、とりあえず周りの見よう見まねで手を清め、参拝をした。
何回も来てるのに、なんで順番とか忘れちゃうんだろうなぁ。
そんなことを考えながら手を合わせる。
いけない。お願い事。
あ、桐人と2人で話ができますように。
「いつまで拝んでんだよー。知希ー」
「あ、うん。今行くっ」
これ、ご利益あるのかな? こんなバタバタしてて。
でも神様、お願いします。
どうか、15円分でいいから叶えてください。
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