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 腕を回した桐人の裸の背中があったかい。  首筋を吸われてぞくぞくする。  さっき掴んだ時は冷たく感じた桐人の手が今は熱くて、その大きな手のひらが肌を撫でるのが心地いい。  シャツを脱がされて、肩を、腕を撫でられて、首や胸に口付けられて身体中が心臓になったみたいに脈打ってる。  息が荒くて唇が乾いてきた。  キス、したいな  そう思っているのが通じたのか、再び優しく唇を塞がれた。  夢中で桐人の舌を追いかけていると、カチャッとベルトを外されて思わず身体がびくりとすくんだ。 「…ほんとにいいの…?」    見下ろされながら訊かれる。引き返すなら今だぞと言われた気がした。  優しすぎてもどかしい。こんな状態で止められる訳ないのに。  緊張で震える手を、桐人のベルトに伸ばした。  カチッと外して、見下ろしてくる桐人を見上げる。 「…しよ…全部…」  目を見開いた桐人の肌が赤く染まる。たぶんオレも赤い顔をしてる。  桐人の喉仏がごくりと上下するのが見えた。  欲しがられる高揚感にくらくらする。  ズボンのホックが外されて、大きな手が素肌を撫で、下着ごとするりと脱がされた。靴下まで手早く引き抜かれてしまう。  恥ずかしくて膝を立てた。桐人がくすりと笑う気配を感じた。  衣服を全て取り去った桐人が、改めて上から覆い被さってきてドキドキした。  脚に当たる熱に思わず喉が鳴った。  太ももを撫で上げた手が、そろりと脚の中心に触れる。  あの日に想像してしまった事が、現実になってる。  う、わ…っ  握り込まれて頭が真っ白になった。 「……!」  大きな手に上下に擦り上げられて、ぐいぐいとすごい勢いで快感が押し上げてくる。  心臓が壊れそうなほどに高鳴って息もできない。 「あ…っ、き、桐人…っ、やばい…も…っ、すぐいっちゃいそ…っ」 「いいよ、いけよ…知希」  つま先までピリピリして頂点はもうすぐそこまで見えている。  でも 「や、やだっ、1人じゃ…っ」  一緒がいい 桐人も一緒に…  そう思って手を伸ばして桐人に触れた。 「…っ!」  びくりとした桐人が一瞬目を見張ってオレを見て、それからにやりと笑った。  やばい 格好いい  桐人にされてるのと同じリズムで手を上下に動かしてみる。  興奮で脳が溶けそうだ。  それにしても… 「…おっきい…」  握った感覚が全然違う。 「…お前、その言い方やらしいな」  桐人の息も乱れてる。    嬉しい  オレが触って桐人が感じてくれてる 「…あっ」  そう思った瞬間、一気に快楽に押し流された。  高く立ち上がった波が崩れるように放出の快感に飲み込まれる。  爆発しそうな胸を上下させて、はぁはぁと息をつきながら、桐人は、と思った。  見上げると桐人も大きく息をついた。

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