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この世で一番ほしいプレゼント♡‬番外編 運命の人3

 カールが専属執事になってから、ずっと一緒にいる間柄が、唐突に見合いをセッテングされることで、俺と離れるのが寂しく、そんな顔をさせているんだと思った。  世話を焼く以上のことをせず、執事として俺にたいし丁寧に接するカールの心情が見えないまま、自分だけモヤモヤを抱えた。  好きな相手がいるのに、無理やり見合いをさせられたり、パーティで女のコに声をかけられたら、それなりに優しく相手をしなければならない己の立ち位置を、もどかしく思った。 「えっと先週逢ったのがソフィア嬢で、今日逢ったのはオリビア嬢だったか。少しずつだけど、インプットできるようになったな」  指折り数えながら廊下を突き進んだら、寝室の扉が目に留まる。しっかり閉めて出たハズのそれが、ほんの少しだけ開いた状態なのを訝しく思い、首を傾げた。 (寝室に貴重品は置いていない。盗まれるものはないが、ベッドメイキングしたメイドが、閉め忘れたのだろうか?)  それでも泥棒が侵入していることを想定して、足音をたてずに忍び寄り、扉の隙間から中の様子を窺った。カーテンが閉じられていて中は薄暗く、耳だけが頼りになる。 「…っん、あぁっ、んんっ……ぁっ…っぁあ」  最初、誰の声かわからなかった。苦しげなものなのに、艶っぽさを含む声を聞いたことがない。 「アンドレア様ぁっ、うぅっ……もっとシて」 「…っ!」  自分の名が出たことで、声の主がカールだとわかり、慌てて口元を押さえたが、下半身がすぐさま反応した。カールの感じている声を聞いているだけで、痛いくらいに熱り勃つ。 (アイツ、俺の寝室でナニをして――) 「あっあっあっ…好きっ、好きです、アンドレア様っ、イクぅっ!」  掠れた声だったが、しっかりとそれを耳で捉えた。カールの本心を聞くことができて、胸が苦しくなるくらいにしなる。同じ気持ちでいることに、涙が出そうだった。  今すぐカールに抱きつき、襲いたい衝動に駆られた。俺のすべてを使ってアイツを絶頂させて、もっと好きにさせたいと切に願ったが。  唇を噛みしめてゆっくり後ずさりし、その場を静かに去る。曲がり角でしゃがみ込み、深呼吸して卑猥な気持ちをやり過ごすべく、なんとか耐え忍んだ。  そうこうしているうちに、遠くで扉の開閉の音が聞こえたので、曲がり角から様子を窺うと、カールがこっちに背中を向けて、足早に立ち去る姿が目に留まる。  俺は慌てて立ち上がり、その背中に声をかけた。 「おい、カール!」  俺の寝室で、ちゃっかり卑猥な行為をしたあとの顔を拝んでやろうと、声をかけたのに。 「アンドレア様、なにかあったのでしょうか?」  そこには、いつもどおりのアイツがいて、愕然とする俺に駆け寄ってきた。

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