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この世で一番ほしいプレゼント♡番外編 運命の人11
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(今回の誕生日プレゼントは、カールの好物にしてやろう! しかもそれを俺が作ったら、驚き&喜びが倍増されるだろうな)
そんなナイスアイディアが閃いたものの、料理なんて生まれて一度も作ったことのない俺には、無謀ともいえる挑戦だった。
だが、アンドレア・デ・プレザンスの名を使っての最後のプレゼントになることと、その名を捨てた後でも、カールにプレゼントすることのできるものになるからこそ、挑戦しなければならない。
「坊ちゃん、そこにいらっしゃるのはバレてますよ。またつまみ食いですか?」
たまに調理場に現れては、つまみ食いをしている俺を即座に見つける料理長には、まったく頭が上がらない。
「つまみ食いはまた今度で、料理長に頼みがあるんだ」
「また今度つまみ食いをされても、こっちは困るんですけどねぇ」
「じゃあつまみ食いをしないのを条件で、料理を教えて欲しい」
意を決して頼んだ俺を、料理長は小さな目を大きく見開いてガン見した。
「坊ちゃんが料理……。いったいなにを作りたいんですか?」
「紅茶のシフォンケーキだ」
「ホットケーキじゃなく?」
「ホットケーキよりも難しくて、カールが喜ぶものを作りたいんだ」
「なるほど。日頃お世話になりっぱなしの執事様に、主からの労いってことですかぁ?」
イヤなしたり笑いをして俺を見つめる料理長に、真顔を貫き黙って頷いた。好きだから誕生日プレゼントにするなんて言った日にゃ、それをネタにからかわれるのが想像つく。
「偉いっ! 巷では坊ちゃんの悪評が囁かれてますけど、そういう気遣いができるところは、伯爵家次期当主にふさわしいですぞ!」
「褒めてくれるのは嬉しいが、問題はここからだ。まずは俺が料理を一度も作ったことのない、超のつくド素人だってこと」
照れを隠すために、まくし立てる感じで言い放つ。
「それくらいは、ワシだってわかってることですけど?」
「もうひとつは、できる執事様の目を欺き、なんとか時間を作って、料理の特訓をしなきゃならないことなんだ」
問題点を言い切ると、料理長はしぶい表情を決め込む。
「確かにそれは、大問題ですな」
「だろ? アイツの目をごまかし、俺が料理長に料理を教わることも、苦労するのが目に見えるんだ」
「でしたら、睡眠時間を削ることは大丈夫でしょうか?」
そう言って、料理長はメモ帳を胸ポケットから取り出し、なにかを書きはじめた。
「坊ちゃん、これがワシの今週のスケジュールです。ちなみにお休みの日は不定休。ワシ個人が使ってる、私室のキッチンで料理をしましょう」
「睡眠時間を削るくらい、カールのためにやってやるさ!」
こうして料理長から、紅茶のシフォンケーキの作り方を教えてもらい、なんとかマスターして、クソ忙しい誕生日パーティーの前日に、それを作りあげたのだった。
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