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第6話

『諒視点』 僕たちが初めて体をつなげてから、もう数えきれないくらいそういう行為をしてきた。  和也の鎖骨を撫で、唇をよせる。つ、と舌を這わせると、和也が「んっ」と声を出す。記憶を失っても、体はやはり和也のものだ。潤んだ目で見上げられると、知らずこちらの呼吸もあがる。  片足を持ち上げて、足を開ける。和也のそこは熱を持ち、僕を待っていた。 「すごい、ここはちゃんと覚えてるんだね」  指をつきたてると、奥へとすんなりと入った。奥へ奥へ、ぐりぐりと指を押し込むと、さらにそこは拓いていく。  和也の背筋が震えた。彼も呼吸が荒い。2人の呼吸と水音だけが部屋に響く。僕たちは何も言葉を発さなかった。言葉はいらなかった。記憶もいらなかった。ただ、体がお互いを覚えていた。  奥をこすると、和也は初々しい反応を返す。顔を覗かれるのが恥ずかしいらしく、腕で顔を覆い隠そうとする。僕はその腕をベッドの上に縫い留める。表情をもっとよく見たかった。いまの彼は靴を並べて、コーヒーを飲んで、絵を描かない。しかし、いまの表情はよく知っている彼だった。  僕は夢中で指を動かした。一本だったものが二本、そして三本の指をそこに沈ませる。和也は耳まで赤くしながら、仰け反り、いやいやと首を振って、それでも快楽に翻弄されて、口から声が漏れる。 「あん、ん……あぁあ」  強請ってくる。和也の奥がうねって、強請っている。和也の目が欲情に濡れる。  指で弱いところを突くと、腰が浮かして、股を開く。  いつも僕は、和也の赦しを待っている。彼とひとつになる赦しだ。 「……いれて」  和也は肩で息をして、自分の膝を抱えた。あられもない姿を見せつけて、へらりと笑う。和也のそこはぬらぬらと濡れぼそり、いやらしくひくついていた。 「だいすき」  頭にかっと血が上る。 「和也!!」  寝そべる彼の中心に滾った僕をねじ込んだ。和也の目から涙がひとつぶ落ちた。ふたつぶめは僕の目からこぼれていた。孤独が消えた喜びの涙だ。愛する人と愛し合えた熱い涙だ。  僕たちぼろぼろと泣きながらお互いに腰を振った。 「あ、はぁっ、は、はぁ」 「あああ、あ、ああっ、あん」  はあはあと荒い息を吐き出しながら、全身のすみずみまで快楽がいきわたるのを感じた。頭が真っ白になって、何も考えられない。ただ和也の存在を近くに感じた。 「……っ」  和也が仰け反ると、きゅっと締まる。僕は思わず息を詰める。和也が僕で気持ちよくなっている。それがさらに僕を興奮させる。記憶がなくても、ちゃんと僕を感じてくれている。  僕はさらに思いきり腰を打ち付けた。 「あっ!ああ、あ!!!」  和也の声が高まっていく。身を捩って逃げようとする和也に覆いかぶさり、唇を重ねる。  声が消え、ベッドはぎしぎしと軋む音だけが部屋に響く。  僕は狂った獣のように腰を振った。そこを中心に円を描いて、とろけたそこのさらに奥を目指す。 「あああああっ」  ずっ、と僕のそれが和也の一番奥へたどり着く。 「はっあぁああっ…」  和也の声が一層高くなる。 「ぐ…あぁ、和也!」 「あああああっ!!!諒!諒!!」 僕と和也は同時に果てた。

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