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第154話 帰宅

 ミトとハジメが帰って来た。もう夜も遅い時間だ。 「お帰り。遅かったね。」 ロジが意味深な顔で言った。ミトが飛んで来てロジに抱きつく。 「ミトはハジメの匂いがするなぁ。」 「わかるの? ハジメとラブホでお風呂に入って来たよ。」 「ああ、良かったな。楽しかったかい?」 ハジメは気まずそうにロジを見た。 「タカは?」 「奥の和室にいるよ。」 ミトを膝に抱きながら、書斎の奥を指差している。  ハジメは和室の扉を開けた。 「あ、ハジメお帰りなさい。」 耳を赤くしてタカが応えた。ハジメは畳に座ってタカを抱いてキスした。 「タカ、ロジャーの匂いがする。」 「ハジメはお風呂に入って来たの?」 「ああ、ミトとホテルで入った。」 「うん?ホテルに行ったんだね。」 タカを抱き寄せ、顎を持って顔を見つめる。 「タカは、ロジャーと風呂に入ったのか?」 ミトとホテルに行ったと悪びれずに言うハジメに悲しそうなタカ。 「ロジ先生は優しかったよ。オレを愛してくれた。でも、ハジメはミトを抱いたんだね。 きっと心までミトのものになったんだね。」 タカヒロを抱きしめる。 「バカだな。タカを愛しているよ。 でもミトも好きなんだ。」 タカヒロは、背中に冷たいものが流れる気がした。 (寒い。ここは嫌だ。寒くて震えが止まらない。)

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