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第179話 友也
・・ロジがミトと出会った頃の事だ。東京での講演会。その頃はまだ結婚していなかった秘書のサリナの運転でマイバッハで出かけた。
講演会のテーマは、ミトにも興味のある
『量子物理学のゼロポイントフィールド仮説と
古代インド哲学のアーカーシャとの類似と比較』
というものだった。
その打ち上げパーティで大学関係の人々に紹介されたのだ。
「皆さん、私のパートナー、五十嵐ミトです。この前、二人きりで結婚しました。
日本の法制化はまだまだ大分遅れていますが、結婚した、という気持ちは変わりません。」
ロジが宣言してくれたのだ。
その夜、東京の、サー・デビット・リチャーズ御用達のインペリアルホテルで、初めてミトはロジの大きな男根を受け入れたのだった。
サリナも恋人の國士との結婚を決意した、記念すべき夜だった。・・
ミトがこんなに近いところにいたなんて。灯台下暗し、ってわけだ。ロジ先生は何事も隠さないから。
「すごいね。ロジ先生は教授で、資産家でイケメンで、何でも持ってる。」
「たしか、バツイチだっけ?」
「おじいさんはサーの称号のあるイギリス貴族だし、あの、サー・リチャーズ商会もやってるんでしょ。」
人のうわさは千里を走る。
瞬く間に学内では知らない人はいない情報になった。
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