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15.「何で?」*真奈 ※

 いつも、何か甘いものを飲まされる。媚薬だと言われてる。  口移しで飲まされるから、多少、俊輔の口にも入ってるってことは……そんな悪いものとか、強いものじゃないんだろうとは思うのだけど……。 「……ん……ン」  飲まされたまま、何もかも奪うみたいなキスを、繰り返される。  体が熱くなって、頭がぼうっとするのが、媚薬のせいなのか、キスのせいなのかよくわからない。 「真奈……」   低めの声が、オレの頭の中に直接響いてくるみたい。  目を開けると、少し冷たい感じのする俊輔の瞳に、まっすぐに見つめられていた。 「……しゅん、すけ……」  もう、体が熱くて。  軽く頭をふると、俊輔はまた、ゆっくりとキスしてくる。バスローブを脱がされて、俊輔の手が、体に触れる。  「……ん…………」  激しいキスが息苦しくて、動かしたオレの手を、俊輔が掴んで 握り締める。 「真奈……」  耳元で囁かれる、名前。  ――――……そのまま耳の中に舌を入れられて、あ、と声が上がる。 「……ん、ん……っ……」 「――――……」    こうしている時が 一番。  ……訂正。  ――――……こうしている時だけ、俊輔は優しく触れる。  こうしてる時以外は、触れないから。  ますます朦朧としている頭で、そんなことを思って、オレは瞳を閉じた。  着々と進められる愛撫に、それに慣れてしまった身体が勝手に耐えきれない熱さを生み出していく。  散々焦らされて、弄られて、何度もイきそうになるのに、また逸らされて。 「……ん、んん……っ……」  涙が潤みまくってる瞳を伏せると、ぼろ、と零れた。 「――――……っん……ぁ」    胸に触れられて、指先で弄られながら、片方を噛まれる。  もう、胸への刺激も、すっかり気持ちいいと認識してしまっていて、すごくヤバい。 「……ふ……っ」 「真奈」  呼ばれて、顎をとらえられて、またキスされる。  指は胸をいじったまま。 「――――……んん、ん……ぁ……」    抱かれるのは。もう 慣れてしまった。   薬も使われるから、余計なのか、気が遠くなるくらいの快感が襲ってくる。  抱かれる事自体よりも、気持ち良すぎることが怖い位で。  体だけは、俊輔の愛撫に、慣れていた。  だけど。 「……何して欲しい?」  自分から求めさせられる事には、どうしても慣れる事が出来ない。  「やだ……」 「やだじゃねぇだろ。……何して欲しい?」    オレはゆっくりと目を開いた。ベッドライトの小さな明かりでも、お互いのことは、丸見えで……。  俊輔の欲情した顔も、はっきり、分かる。そんな俊輔の顔に、ぞく、と反応してしまうのも、もういつものこと。 「……入れてほしいか? それとも、先にイきたい?」 「――――……っ……」  言いながらも、中の指で、感じるとこに触れてきてる。 「どっちだ?」 「――――……入れ、て」  先にイかされるとか……まだまだ時間がかかりそうで。  それならいっそ、早く終わりに向かってくれたほうがいい。 「……っ……」  俊輔が散々弄ったオレの中から指を引き抜く。  くる、とうつ伏せにされて、足を開かされる。 「や……」  開かされた状態で、一気に奥まで突き上げられた。 「……ひぁ……ッ」  俊輔が体を入れてきて、手で押さえつけてるので、閉じられない。  深く繋がって、体の奥を何度も突かれて――――……しょっぱなから、飛びそうになる。 「……やぁ……っ あ、んッ……」  ベッドに肘をついて、体を支えて。  ポタポタ零れ落ちていく涙。 「……ぅぁ……っ……」  ゾクゾクして、突き上げられると同時に、オレはイッちゃって――――……。  ぎゅ、と中の俊輔を締めるから、すぐに、バレる。 「イッた?」  オレの下半身を押さえつけていた手が離れて、俊輔が、オレの背中に、体を重ねてくる。 「……っ……は……は、ぁ……っ」  うんうん頷いてると、俊輔は、早や、と笑う。 「バックで突かれるの、好きだよな……お前」 「……っン……」  全身ゾクゾクしてるのに、耳元で囁かれて、つながったままのそこを、緩く、何度も突かれる。  締め付けたまま、力も抜けないのに、締めた中を、無理やり、奥まで。 「……あ……んん……ッ……」  だめ、だ、これ……。   「……や、ぁ……ン……!」  がく、と腕が崩れて、上半身、ベッドに沈む。 「――――……このかっこ、エロいな……」  めちゃくちゃ突かれて、それが全部気持ちよくて、気が遠くなる。  でもベッドに顔を埋めているので、声が出せなくて、これでいいかも。  そう思っていたら、急に抜かれて、仰向けにされる。 「声聞かせろ」  脚を開かされて、俊輔がまた押し入ってくる。  欲望に濡れた、激しい瞳。どく、と心臓が跳ねて、言葉を出ない。  さっき飲んだ薬の甘い香りがまだ、少し残っている。  この感覚が、そのせいなのかも、分からないけど。  俊輔から与えられる快感を、全身が勝手に、求めてしまう。   「……っあ……あぅ……」  小刻みに揺らしながら、ゆっくりと抜き差しされる。  奥までまた、突き上げられた。   「……ひ、ぁ……っ」  涙が自然と零れてくる。俊輔は上からオレを見つめ、ふ、と笑った。  俊輔はほとんど毎晩、必ず薬を使ってオレを抱く。  薬を使った方が気持ちよくなれるならそれでいいだろと、前に俊輔が言っていたのを思い出す。  ……して欲しい訳じゃない。  もう抱かれ始めて随分経つけれど、自分から欲情したりする事はないし、抱いて欲しいと自分から願った事は無い。なのにこれが始まると、オレは自然と俊輔を求めてしまう。薬のせいなのかは、正直分からない。  どっちにしたって、意識が飛ぶほど聞いてる訳じゃない、と思う。ただなんとなく、ぼんやりする程度な気もする。なのに、何で、こんなに、俊輔にされるのが、嫌じゃないんだろ。……分からない。  なんだか少し悔しくて、耐えようとして、必死に唇をかみしめる。 「声我慢すんな」  言われて、キスで、解かれる。

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