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13.久しぶりの*真奈

 すごく、久しぶりに皆とご飯を食べに来た。  オレの好きなものでいいって言われたけど、結局十人になったから居酒屋に行くことが決まった。  店が決まった時に俊輔に連絡を入れたけど、普通に分かった、と言った。 「酒はまだやめとけよ」と「帰る三十分前には和義に連絡しろ」とは、言われたけど。  分かったって答えてたら、俊輔も出かけるから遅くなるって言ってた。  ――俊輔が遅くなるなら、オレも、そんなに時間、気にしないでいられるかな。  家で待ってると思ったら、早く帰らなきゃって感じだったけど……。 「カンパーイ!」  何度目の乾杯だろ。大学二年、二十歳になって、飲める奴も増えてて、テンション高い。 「真奈は酒、飲んでないの?」 「うん。今日はやめとく。また今度ね」  ――もともと俊輔に言われなくても、飲まずに帰ろうって思ってた。  大学に通うのは許してくれたけど……友達とご飯行くのとか、それが飲み屋でもいいって言ってくれるとは思わなかった。ダメって言われるかなと思って、恐る恐る電話した。  オレが逃げないって、信じてるのかな……?  どうなんだろう。  いいって言われても、本当に行っていいのか考えてしまったし。  行ったらあとで怒られるんじゃないかなとか。  でも俊輔も出かけてくるっていうなら、もうそれは怒られないかも。  なんか……急に自由になりすぎた気がして。  それって、当たり前のことなのに、気にしてる自分が謎すぎるのも分かっているのに。  ……解放感はある。  そうだ、オレ、自由にこういうことしていいんだった。って、思ったりもする。  俊輔がオレのしたいことを尊重してくれてるみたいで、嬉しいなとも思う。  だけど。  ――よく分からないのは、それでモヤモヤしてる自分の気持ち。  もう、オレがどうしてても、俊輔はいいのかな。  関係ないのかな。なんて。  浮かんでる。 「――よな?」  ぼーっと考えていたら、急に自分に向かった同意を求める声に、はっと気づく。 「あ、ごめん。今ぼーっとしてた」 「なんだよー飲んでないのに酔った?」 「うん。そうかも。ごめん」  笑いながらそう返すと、皆も笑って、一人がもう一度言ってくれる。 「だから、真奈さ。もう学校辞めちゃうんだろうなって思ってたから。よかったよ、戻ってこれて。課題も出したら、進級もできるんだろ?」 「うん。たぶん」  頷くと、皆、ほっとしたように笑う。 「良かったなー」 「うん。ありがと」 「おかえりー! かんぱーい」  また乾杯。はは、と笑いながらグラスを合わせて、ジュースを飲む。  オレの大学は一番最初にクラス分けをされる。必須の英語や教養の科目は、クラスで受けることになってるから、クラス会とかもあって、それに参加してる皆は結構仲がいい。  良かった、参加してて。  こんな風におかえりって言ってもらえて――嬉しい。 ◆◇◆  西条さんから店の近くに来てくれたという連絡が来たので、オレは皆に別れを告げて店を出た。  ――二十二時。なんとなくこれが限界かなと自分で勝手に決めたのだけれど。  言われたところに行くと、西条さんが車の外に出て待っていてくれた。 「おかえりなさい、真奈さん」 「あ、すみません」  ドアを開けてくれたところに、乗り込む。すぐに西条さんも運転席に乗り込んだ。 「楽しめましたか?」 「あ、はい。……すごく」 「良かったです」  オレがシートベルトを締めるのを確認してから、車を発進させた。 「……俊輔って、もう帰ってますか?」  なんだかドキドキしながら聞いてみる。 「いえ。すごく遅くなるから寝てていい、なんて私にもおっしゃってましたから。相当遅いと思いますよ」  笑いを含んだ声でそう言われて、ほっとしたような……なんだか違う気持ちも混ざるような。 「……西条さんは、先に寝るんですか?」 「寝ませんね。帰られてから休みます」 「――大変ですね」  なんとなくそう思って、思うまま言ったら、西条さんは少し間をおいてくすっと笑った。 「昔はもっと毎晩のように遅かったので、その頃は少し大変、というか寝不足だったかもしれませんが」 「――」  昔。  ……そうなんだ。  まあ確かに、オレがあそこに行ってからも、帰りは大分遅かった。  最近だよね、早く帰ってくるようになったの。  ……あ、オレが逃げた時以来、かな。早く帰ってくるようになったの。  それになんの意味があるんだろうと、ちょっと考えるけど。  はっきりした答えはない。  俊輔は今日、誰といるんだろ。  聞きたかったけど、声には出せなかった。

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