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12/18 ビオラ
花言葉 誠実 信頼 少女の恋 物思い 私を想って
ギリシャ神話でらゼウスが少女イオのためにビオラを咲かせたらしい
2人は恋仲だったとされている
そんなストーリーから少女の恋なんて言う花言葉が当てられたとかなんとか
「ゼウスと少女の恋ねぇ。ロリコン趣味なのかな。神様が惚れるくらいの子だものね。きっと絵になる2人だったんだろうなぁ。まぁ可憐な少女でもない加齢臭のするおっさん同士には不釣り合いな花だねぇ」
「せっかく綺麗な景色見にきてるのに雰囲気ぶち壊しにするのやめてくれない?それにぼくはまだ加齢臭するような歳じゃないから、一緒にしないで」
「えー、7歳の違いなんてたいして変わらないとおもうけどなぁ」
「変わります。二十半ばと三十過ぎはだいぶ違います。ぼくはまだぴちぴちだし、いい匂いがしてます」
「それ自分で言うもんじゃないと思うよ」
色とりどりの花たちが綺麗に植えられている庭園を歩く2人の男性
元々は同じ会社の上司と部下だったのだが、部下の方からの猛アタックで恋仲になったのだ
今は久々に2人で有給を合わせて少し遠出しているところである
「いやぁ、まさか男2人で洒落た庭園に花を見に来ることになるなんてねぇ」
「もう少し日が落ちたらイルミネーションもあるってさ」
「わぁ、すごいね。どんどんおっさん2人には似合わないおしゃれスポットになるねぇ」
「別に似合わないことはないでしょ。花に囲まれてるあんたは結構かわいいと思うけど」
「褒められてるのかよくわかんないな、それ。おっさんに可愛いって」
あははと笑って先を歩く男と追いかける男
ファンタジーっぽいといえばそう見えなくもない
「ぼくがかわいいって言ってんだからかわいいの」
「そー?ま、悪い気はしないからいいや。ありがとね」
「どういたしまして。でも、あんまりぼく以外の前でかわいいとこ見せないでよね」
「あはは、独占欲かい?」
「そうだけど?何か悪い?」
「いーやー?悪くないよ。俺も結構嫉妬深いからね。浮気なんて許さないよ」
「はっそんなことするわけないから安心していいよ」
「はいはい。ベタ惚れされてるねぇ。俺は幸せ者だ」
「当たり前でしょ。幸せになってもらわないと困る」
2人でこれから先もずっとこうやって冗談を言いながら過ごせたならそれはこの上ない幸せ、というやつなのだろう
なんて、乙女チックな思考になるのもきっとこの可憐な花たちに囲まれているからだろう
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