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落ち穂拾い的な 佐久間くん

 ただいまーと声をかけて佐久間は靴を脱ぐのももどかしく思いながら部屋に入り、夕飯を作るために立っていた人物に飛びついた。 「わっだから、調理中に飛びついちゃダメだって」  ふふ と笑って彼は振り返り、佐久間を見て笑顔を曇らせる。  ちょっと不機嫌そうに唇を曲げて、矯めつ眇めつ佐久間を見て……少し悲しそうな顔を見せた。 「……どうして、アルファの臭いつけてるの?」 「アルファの臭いはいつものことだろ?」  佐久間はふふん とでも言いたげに言い返しながらゆったりとした上着を脱ぎ捨ててシャツも乱暴に放り出す。  戸惑う彼の目の前で下着ごとズボンも脱ぎ捨てると、ちゅ ちゅ とわざとらしく音を立ててキスをする。 「それより、しよ。フェロモンにあてられて……体が熱くて……」 「なんでこんな他の臭いが……いつもの、あの虫よけ用のアルファはどうしてたの?」 「信くん? 信くんは番と引きこもっちゃったよ?」  佐久間は体を摺り寄せながら器用に彼の服を乱していくと、どうでもいいという風に肩を竦めた。 「じゃあ、このアルファの臭い、どうしたの?」  長い前髪の向こうから心配する視線を向けられて、佐久間はくすぐったそうに身を捩りながら「ヒートを起こしたオメガを襲おうとしたアルファがいた」と告げると、彼はさっと顔をしかめて佐久間の体を引きはがした。 「わっ……心配しなくても僕はなんともないよ?」  彼の視線が頭の先から顔を通り、喉元、胸を過ぎてくすぐるように腹を見て更に下へと辿っていく。  そこまでしてやっと彼は佐久間の無事を確かめられたようで、ほっと胸を撫で下ろしてコンロの火を止める。 「心配させないでよ」  苦そうに言葉にするが、佐久間はそんな言葉は聞こえないとばかりに乱した彼のズボンの隙間から出た性器を咥え込む。 「っ  」  上がりそうになった声を手で口を塞ぐことで抑え込むと、彼は泣きそうな目で佐久間を見下ろして首を振る。 「台所じゃダメって言った」 「  んーっちゅ。じゃあ、一回出してから ね?」  佐久間が可愛らしく微笑むと、彼はぐっと声を詰まらせて……抗えないままにぎゅっと唇を噛みしめて従順を示す。  その素直な姿に、佐久間は堪えられない笑みを零しながら彼の蜜を零す後唇へと指を滑らせた。  のそりと頭を上げて枕元の時計を見る。  起きるには早いし二度寝するには遅い時間だ。  佐久間は一瞬悩んだ後、隣で眠る彼の上に覆い被さってゆっくりとお互いの股間を擦るように体を揺する。  眠りに落ちる直前まで睦合っていた体は眠っていても敏感で、体の間でこねられる刺激に小さな喘ぎが漏れて…… 「ふふ 可愛い。愛してるよ」  額に小さくキスを落とした。 「 ────兄さん」   END.

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