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落ち穂拾い的な 二人の結末 4

 らしくない。  自分の中でのミクはそんな嘘を吐くような性格ではないから、どうしてそんな行動をしたのかわからなかった。 「……みなちゃんに、会いたかったから」 「そん 」 「いきなり大金を送りつけてきて、音信不通になって、大怪我してっ……心配で心配で頭がおかしくなりそうだったっ! 大好きな人が何かに巻き込まれているのに放ってなんか置けないっ怪我はどれくらいなのか、後遺症はないのか、傷は残らないのか、今後また同じようなことが起こるのか、いっぱい! 色々なことがすごく心配だったっ!」  一気に叫ばれた言葉は、そんな大きな声を出せたのかってくらいの強さで、人のいないがらんとした食堂にわんわんと響き渡る。 「だからっ…………ぇと……だから、勝手に婚約者なんて名乗ってごめんなさい」  叫んで熱が一気に冷めたのか、ミクはしょげるように肩を落として項垂れた。  そしてそのまま「お仕事の邪魔をしてすみませんでした」と堅苦しいセリフを吐いて背を向ける。    自分が細いと感じるのだから、ミクの華奢さは群を抜いているんだろう。  うなじの噛みちぎられたような痕も相まって痛々しく見える姿は、寄る辺のない小舟のようにも見える。 「 ────っ ミクちゃん!」  呼び止めるつもりはなかった。  こんな自分に関わらない方が今後も平穏なのはわかり切っている。 「あ の、幸せに、なって や」 「 っ、幸せになんてっ! なれるわけないでしょっみなちゃんと会えなくなってっ僕は不幸になったんだからっ」 「ゃ、そんな、そ、そんなこと言わんと  おらん方が幸せやって」 「僕の幸せをみなちゃんが決めないでっみなちゃんに抱きしめられて眠って……っそれが僕の幸せだから!」  ぐぐ っとへの字に曲がった唇は泣くのを堪えているようだ。 「それを僕からとりあげたみなちゃんに、僕の幸せを考えるなんてしないで!」 「やかて……うちは、みなちゃんに幸せになって欲しいんよ?」 「僕っのっ  し、あわせっはっ  」  堪えていたものが決壊しそうなぎりぎりの瞬間、さっと手を出して抱き締める。  強さを考えずに力を込めてしまうと折れてしまいそうな体は、腕の中に収めると小さく震えていた。  自分の足で歩んで行ける人だと思っていた、けれどその体は細く頼りなくて追い詰められたように怯えている。  ミクはこれから先、幸せになれるのか? いや、自分自身で不幸だというのだから…… 「……う、うちがおったら、幸せになれるんかな?」  腕の中の微かな啜り声は返事ではなくて、ミクは答える気がないんじゃないかって思い始めた頃、こくりと首が動く。

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