1 / 7
第1話
高校最後の夏休み。
奏と初めて出会った中2の夏から毎年行っている夏まつりに行く。
割と規模もでかくて小さい頃から楽しみにしてた。
それに。
奏と2人きりで一緒にいれるのがすごく嬉しいんだ。
今日だけはどんなわがままでも聞いてくれる。
浴衣か洋服か悩んで浴衣に決めた。
去年浴衣を着て行った時の可愛いじゃんって声を思い出したから。
浴衣を着るのに手間取り急いで待ち合わせ場所の木の下に向かった。
「よっ」
すでに来ていた奏も浴衣を着ていて、落ち着いた紺がとても似合っていた。
思わずかっこいい…と呟くと、倫の方が似合ってると微笑んでくれた。
イケメンすぎる奏に鼓動がだんだん速くなる。
急いで夜店の出ている方に向かう。
「そんな慌てんな。祭りは逃げねーから。すぐはぐれるだろ?ほら」
差し出された手に躊躇し、でもやっぱり握りたい。
手汗かいてないか、なんて乙女かよ。
2人で的当てをしたり、食べ物を買ったりしているとどーんというおっきな音が聞こえた。
「奏!花火もう上がりだしたっぽいよ!はやく移動しよ!」
「いいけど。倫、いろいろと大量に持ちすぎだろ…それ全部食べれんの?」
りんご飴に綿菓子に水飴にイカ焼き。
たこせんと焼きそばも。
ともだちにシェアしよう!