2 / 7

第2話

「大丈夫、奏が半分食べるから!」 奏は確定してんのかよと苦笑し、俺の持っている綿菓子にかぶりついた。 間接キスだなんて小学生みたいなことで喜んで、俺も綿菓子を食べた。 結局、すぐお腹は膨れてほとんどを奏に食べてもらった。 食べれないなら買うなよって言われたけど、奏と一緒に食べたいんだよっていう本音はそっと 心にしまった。 会場から少し離れた公園に2人で座る。 中学の時に見つけた2人だけの穴場。 2人で並んで見た花火はとっても綺麗でまるで奏みたいだと思った。 「きれいだね。」 「きれいだな。」 奏の方がもっと綺麗でもっとかっこいい。 帰り道、あんなに多かった人はいなくなり、奏とわかれる十字路まで来てしまった。 はぐれないようにって握ってくれた手はまだ繋がっていて、奏も俺のことちょっとは好きなの かななんて少しにやけた。 そんなちっぽけなことが俺にいらない勇気を与えた。 「奏。話があるんだ。」 久しぶりに真面目に話したからか、奏は戸惑いながらおうと返事をしてくれた。 「中学のときから、……ずっと好きだった。俺と、つ、付き合ってくれませんか……?」 奏は一瞬眉を寄せ、顔を歪めた。 初めて見る顔に呼吸が止まった。 でも、だめだ。 必死で笑顔を作った。 笑顔ってどうやって作ってたっけ? これであってるの? 「ちょっ、何本気にしてんの?男同士とかキモいっつーの。冗談に決まってんじゃん、じょーだん!てか、もう俺帰るわ!今日はありがと、楽しかった。じゃあな!」 奏を見るのが辛くて、走った。 急に走ったら、おかしいって思われるじゃん。 でも、止まることなんてできなかった。

ともだちにシェアしよう!