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 ということは、話があったんじゃなくて、たんに暇なところに俺が合コン行ったなんて聞いたから来たのか。その割には何か言いたそうな顔してるけど。 「なぁ。ほんとに彼女作るのか?」 「できたらいいな、って話。でも、今は無理だな」 「なんでだよ。でも、彼女なんていらないだろ」 「ひでーな。自分がいるからってさ」 「彼女いたって別にいいことないよ」 「そう言いながら彼女途切れたことないじゃん」 「それは、告られるから……」 「うわ〜。言ってみたいな。告られるから彼女途切れたことない、って」 「とにかく! 陽翔は今のままでいいよ」 「だから、なんで」 「なんでって、いらないからだよ。彼女なんていらない」  なんか、あまりの言われように少しイラッとする。自分は彼女いるくせに、なんで俺には彼女いらないなんて言うわけ? そんなのわけわからない。 「俺に彼女いらないって言うんなら、自分が彼女と別れろよ! そしたら合コンなんて行かないから」  嘘だ。涼介が彼女と別れたって、自分が付き合えるわけじゃない。どっちにしたって報われない恋なんだ。だから、昇華させるためにも新しい恋をしなくちゃいけない。 「俺が彼女と別れたら、陽翔も合コン行かないか?」 「なんでそこまで、合コン行くなって言うわけ? 俺だって高三だぞ? 彼女くらい欲しいと思ったっておかしくないだろ」 「受験は? いくら推薦狙ってたって、遊んでて良いわけじゃないだろ」 「涼介に関係ないだろ!」  あ、言い過ぎた。  涼介が固まったのを見てそう思った。つい、売り言葉に買い言葉で言ってしまったけど、今のは言っちゃまずかった。 「ごめん。言い過ぎた」 「いや……。それより、そんなに彼女欲しいのか?」 「欲しいっていうか、恋がしたい」  恋自体は今してるけどな。したいのは、新しい恋。報われる恋。 「好きなやつ、いないのか?」 「……」  言えるか、そんなの。 「いるんだな? そしたら、なんで?」  なんでって、お前だからだよ。好きな相手がお前だから新しい恋したいんだよ。でも、そんなことお前に言うわけにいかないから。だから。だから、もう訊かないで。 「それよりさ、たまには一緒にゲームでもして遊ぼうぜ」  これ以上この会話をしていられなくて、俺は話題を変える。 「新しいの買ったんだ。それやろうぜ」  涼介もゲームが好きだ。だから、ゲームに乗ってきてくれるだろう、と思って。  すると、涼介は唇を噛んで一瞬、強く俺を見据える。でも、次の瞬間には大きくため息をついて、わかったよ、と言ってくれる。ごめん。でも、言うわけにはいかないから、お願いだから許して。  その後は、夕食を間にはさみつつ、夜遅くまで二人でゲームをした。

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