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年末は君と1

 合コンでメッセージIDを交換した朱莉さんからは色々誘われたが、一貫して断ってきた。でも断わってもはっきりとは伝わらないと思って、付き合うとかはできないとはっきり伝えた。朱莉さんは残念そうにしてたけど、諦めてくれたようだった。諦めてくれて良かったよ。  そして迎えた年末。クリスマスも正月も涼介に彼女がいないときは涼介と一緒に過ごしていた。そして今年は涼介に彼女がいないから一緒に過ごすことが暗黙の了解で決まっている。  クリスマスと言ってもチキンを用意して、ショートケーキ買ってきて、ピザの出前を取ってプレゼント交換、というありふれた過ごし方だ。  でも涼介とクリスマスを一緒に過ごすのは中三のとき以来じゃないかな。高校生になってからは涼介に彼女がいたから、一緒に過ごすことはできなかった。 「涼介と年末一緒に過ごすの久しぶりだな」 「ごめん。陽翔優先したかったけど、クリスマスも正月も優先しないとダメだったから」 「彼女いると大変なんだな」 「でも今年はいないから、陽翔を優先できた」 「里奈ちゃんはいいの?」 「里奈は里奈で友達とパーティーするみたいだよ。彼氏いないから」 「里奈ちゃん可愛いのにな」 「里奈みたいなタイプが好み?」 「里奈ちゃん? 違う違う」  好みのタイプは日に焼けた男らしい顔だよ。なんて言えるはずもないから、適当にごまかす。 「じゃあ涼介の好みは?」  あ。地雷踏んだ気がする。聞きたくもないこと訊いちゃった。馬鹿だなぁ。 「おれの好みは丸顔で丸い目が可愛い子」  過去の涼介の彼女たち全然タイプ違うじゃん。あ、好きで付き合ってたわけじゃないからか。あ、告られたらOKしてたって言ってたもんな。そう考えるとモヤモヤする。 「ほんとに次の彼女作らないの?」 「約束しただろう。だから作らない」 「でも好きな子と両想いなら付き合うだろ」 「んー。希望あるのかないのかわからないからな。でも無理かな」 「それがわからない。涼介が告ったらOKされるだろ」  涼介が誰を好きなのかわからないけど、涼介が片想いなんて信じられない。俺なら即OKするのに。その子が羨ましい。ダメだ。あまり考えると花吐いちゃう。 「まぁ、何はともあれ年末年始を涼介と過ごせるのは嬉しいかな」  これは本音。でもこれくらいは友達でも言うだろう。 「もし陽翔が彼女作ってたら、こうはできなかったんだぞ」 「だから、それはごめんって。もういかないよ。向いてないのよくわかったから」  確かに涼介の言う通りだ。想いを昇華させたい一心で合コンに行ったけど、結局は彼女はできてない。いや、できるかもって言うところまではいった。  結梨花ちゃんも朱莉さんも好意をもってくれた。でも俺がダメだった。涼介のことばかり考えて結局は出会いを棒に振った。  わかったことは今はまだ無理だということだ。そのうちできるかもしれない。それまでは無理くださいせずに涼介のことを想っていようと思う。花吐き病治らないから、その点は残念だけど。

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