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冬休みは特に勉強を頑張ることもなく適当に済ませ、後は拓真とゲームをしたりして遊んでいた。ちょうど新しいゲームが出ていたのもあり、新しいゲームに没頭していた。
そして迎えた大晦日。午前中は部屋の掃除をし、午後は母さんに正月の買い物に行かされ忙しく過ごしていた。
夜になって年越しそばを食べて、十二時が近くなってきてから初詣に行くのに涼介と待ち合わせた。
クリスマスに一緒に過ごした後は、涼介が塾で忙しくて会えないでいた。だから、今日がすごく楽しみだった。
会えなかったのは六日間。それだけで寂しかった。確かに学校でもクラスは違うから毎日会えていた訳でもない。でも、クラスに行けば絶対に会えると思っていて会わないのと、会いたいのに会えないのとでは精神的に違うんだと気がついた。
でも、これからは六日どころじゃないんだ。涼介の受験も迫ってくるし、その後は卒業。俺と涼介は志望校が違うから、もう月単位で会えなくなるんだろう。そう思ったら寂しくて仕方ない。
いくら涼介が今は俺を優先してくれたって、大学へ行けば勉強も大変だろうし、それにバイトもしたりしたら、ほんとにもう会えない。寂しい、なんて言ったら困らせちゃうよな。もう大学生になるっていうのにさ。
だから! だから! 今日がすごく楽しみだったんだ。
待ち合わせ場所に行くと、既に涼介はいた。
「遅くなってごめん。寒かっただろ」
「着込んできたから大丈夫。楽しみにしてたら早く来ちゃった」
涼介も今日を楽しみにしてくれてた? それならめちゃ嬉しいけど。
「でも風邪ひいたら大変だろ」
「大丈夫だよ。それより行こう」
初詣に行くのは隣の駅にある、そこそこの規模の神社。少し距離はあるけど、歩いていくこともできる。今日は電車もあるけど、体を温めるためにも歩いて行くことにした。
「クリスマス以降はずっと塾だったのか?」
「昨日、今日は休みだったよ。だから家で勉強してた。陽翔は何してた?」
「拓真とゲームして遊んでた。さすがに昨日、今日は家の大掃除や買い物に使わされてたけど」
「ゲームいいな」
「受験終わったらやろうぜ。新しいゲーム、めちゃ楽しいから。ハマった」
「楽しみにしとく」
「試験、二月の中旬だろ? 後一ヶ月半頑張れよ。ゲーム一緒にやれるの待ってるからさ」
「うん。頑張るよ。でも、それまではあまり会えないな」
そうなんだ。受験日までの一ヶ月半。塾がない日でも試験勉強が忙しくて会えない。彼女なんていたらどうするつもりだったんだろう。受験生をクレープ食べに誘うような子だったら、試験勉強があってもデートをせがんでただろうな。それともその間だけは我慢してくれたのか。もう別れたけど、それを思うとモヤモヤする。
俺だって会えないのは寂しいけど、それは仕方ないと思ってるし。
「たまにはうちに食事しに来いよ。母さんも喜ぶと思うし」
母さんをダシに使ったけど、喜ぶのは俺。だってそうすればほんの数十分でも会えるから。こういうとき、ご近所で、小さいときから一緒で良かった。
涼介のおばさんは看護師さんだから、夜勤とか普通にある。だから、小さいときはそういうときはうちで一緒に食べてた。その流れで、今でもたまに一緒に食べたりしてる。だから食べに来い、と誘うのもおかしなことじゃない。
「そうさせて貰おうかな。そしたら陽翔にも少しでも会えるしな。おばさんに甘えよう」
涼介がそう言ってくれたことで喜んでしまう。うん、少しは会える。
そんな話をしていたら、目的の神社にはすぐに着いた。
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