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第1話

顔も知らないじいちゃんの法用に真夏の田舎にやって来た。 いや、“連れて来られた”の方が正確だ。 同意もなにもない。 先週突然、法用だから田舎のおじいちゃんの家に行くと言われた。 いつもそうだ。 決定事項を突然伝えてくる。 俺には拒否権もなにもない。 いつまでも子供扱いしやがって。 しかも、山の方だから涼しいなんて言われたけど嘘だ。 馬鹿みたいに暑いし、蝉は五月蝿いし、蚊は沢山いるし。 しかも制服は暑いし。 ネクタイをしっかり上げろだなんて熱中症になったらどうするんだ。 生きている人間と、亡くなっている人間とどっちが大切なんだか分かったもんじゃない。 最悪だ。 早く帰りたい。 1歳年上の従兄弟は受験生だからって免罪符。 年の近い子供はいない。 ばぶはぶ言ってる赤ん坊はいるけど話し相手にもなりやしない。 早く帰りてぇ そんなことを思ったって無駄なのは理解している。 みんな昔の話ばっかりしてるし、酒くさいし、きっと今日は帰れそうにない。 法用より酒飲みがメインなんじゃないかと思う。 ほんと、生きてる人間と、亡くなっている人間とどっちがメインなんだろうな。 1人になりたくて裏の畑へと向かう。 あそこなら人はいないだろう。 飲めない歳の俺は居ても居なくても関係ない。 俺だって、友達と遊ぶ約束してたのに… 今頃スマブラしてんだろうなぁ 羨ましい

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