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第4話・悪魔。(6)

 悪魔とは無知な存在である。  正義も悪もない。ただ自分のみが全てで、絶対的なものだと信じきっているからだ。よって仲間意識は皆無に等しい。  それは知能を持たない軟弱な悪魔の特質だった。だから群れになっている悪魔同士での諍いはあって当然だし、命の奪い合いが起きてもおかしくはない。  ――しかし。  しかし、である。  争うことがあっても食料にする場面など見たこともなければ聞いたことがない。この地の悪魔が知能をつけはじめている証拠だ。  逃げ惑う同胞を喰らうごとに力は増幅し、増えた魔力に比例して肉体も大きく変化していく。  そして最後の一体を喰らい尽くした時、赤ん坊の姿をしていた悪魔は背中に漆黒の翼を生やした成人した大人の身長ほどにも変化を遂げていた。  巨体化している彼の身体と共に魔力も比例して増幅している。  エイドリアンは、他の悪魔同様、その悪魔にも銀のナイフを投げ放った。  しかし、漆黒の翼は鋼よりもしなやかで強靱だった。意図も容易く弾かれる。どうやらエイドリアンの魔力を込めた小さなナイフでは数十体の同胞を喰らった彼の魔力には敵わないらしい。  次に動いたのは悪魔だ。攻撃を仕掛けてきたエイドリアンの仕返しだと言わんばかりに、彼は大きな漆黒の翼を羽ばたかせ、恐ろしい羽音と共に突風を巻き起こした。  たちまち竜巻が出現し、墓地に植え付けてあった大木が枝を揺らして轟々としなる。  もし、この場に人間が居たならば、彼らはあっという間に爆風の餌食になっていたことだろう。

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