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ライバル登場⁉4
「花園さんはお若いのに、結構融通がきかない方なんですね?」
「えっ?」
今まで告げられたことのない言葉に、目を瞬かせながらキョドってしまった。
「星野さんすみません。コイツ、本当にデリカシーがなくて……」
「ふふっ、花園さんは私に島田さんをとられるのを心配して、失礼なことを言い続けているのかなって思うんです」
「どうして、そう思ったのでしょうか?」
単純に理由が知りたくて訊ねたというのに、先輩が僕の肩に手をやり、ゆさゆさ体を揺らした。
「おい、もうやめろって。せっかくお礼に来てくれたのに、おまえのせいで、星野さんの気分を害するだろ」
「星野さんはお礼と称して、先輩との交際を迫る計画を立てたんですよね?」
ナチュラルメイクなのは、電車で逢ったときと変わらないが、髪型がゆるふわ系になっているだけで、随分と印象が違って見える。男受けを狙った髪型をしているというだけで、敵意がむき出しになってしまった。
「花園さんは、私と島田さんが付き合うことに、反対なんですか?」
「質問を質問で返さないでください」
「大和、いい加減にしろ!」
先輩の怒号が、僕の胸にグサッと突き刺さった。
好きな気持ちを蔑ろにされ、告白もノーカン。しかもこんなふうに冷たい態度をとられ続けたら、僕の鋼のメンタルでも、落ち込むのは当然のことで。
「すみませんでした。僕、お先に失礼します……」
小さく頭を下げてからコーヒーを一気飲みし、ゴミを片手にその場から立ち去る。
「島田さん、イチゴのサンドイッチもあるんですけど、食べてみませんか?」
先ほどの険悪なやり取りがなかったみたいな口調で星野さんが先輩に話しかけたのを耳にしても、自分がとった行動についての反省なんて――。
「するわけないだろ、ふざけんな! ヒート先輩がおまえみたいな計算高い女を、相手になんてしないし!」
恋愛は残酷だ――結ばれる者とそうじゃない者を、ハッキリと二分する。今みたいに……。
僕はゲイで、相手はノンケ。それだけでもハードルが高いのに、横からああやって異性が相手をかっ攫うことなんて、しょっちゅうあるのが現状だった。
「好きだけじゃダメなのはわかってる。だから手を尽くして接触して、僕を知ってもらって頑張っているのに!」
一瞬で形勢逆転される展開に、ほとほと嫌気がさしてしまったのだった。
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