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ライバル登場5

***  微妙な雰囲気を漂わせながら去って行く大和に視線を注ぎつつ、星野さんに頭を下げる。 「星野さん、本当にすみません。大和のヤツ、ワガママなんですよ」 「花園さんがしっかりした島田さんにベッタリなのは、見ていて微笑ましくなっちゃいました」 「アハハ……あまりベッタリしてほしくないんですけど」  むしろ、付きまとわないでほしいと願ってしまった。 「島田さんは面倒見がいいから、なんだかんだ文句を言っても、花園さんを可愛がっちゃうのかなって」 「いえいえ、むしろ俺のほうが翻弄されていると思いマス」  実際のところ、スマホに残された殴打の写メで脅されているので、思いっきり翻弄されているのである。 「島田さんさっきの話、本気にしてくれませんか?」 「さっきの話?」 「付き合ってくださいって言ったの」 「あー、アレですか」  なんだか照れくさくて、無意識に頭を掻いてやりすごす。 「私じゃダメですか?」 「すみません。俺の見た目がこんなだし、キレイな星野さんが隣にいるのが、なんだか申し訳ない気がして」  当たり障りない会話を心がけたが、俺のこのセリフで諦めてくれないだろうかと思った。 「誰かの目を気にして、お付き合いするようなこと、私はしませんよ?」  俺の顔をきちんと見て答えてくれた言葉に、星野さんの本気を感じた。 「へっ?」 「島田さん、さっきからご自分の気持ちよりも、周りを気にした発言ばかりしてます。それって、過去になにかあったんですよね?」  一瞬だけ口を引き結んだが、言わないときっと納得しないだろう。 「大学時代に付き合った彼女がいまして、並んで歩いてると、いつもいろいろ言われたんです。美女と野獣的なコトばかり」 「それは島田さんとしては、彼女に気を遣いますね」 「はい。俺がもう少しだけいい男だったなら、こんなことを言われずに済むのにって。彼女がフォローしてくれるたびに、いたたまれない気持ちになってしまって、結局別れたんです」  大和のように整った容姿だったら、なにも気にすることなく、星野さんとお付き合いすることができるだろう。 「周りが気にならなくなるくらいに、島田さんを私に夢中にさせたいかも!」 「星野さん……」 「だったらまずは、お友達になってみません? LINEの交換しましょ?」  友達という言葉で、なんだか気が楽になったので、LINEの交換をした。 「島田さん、私たちは友達同士なんですから、仕事の愚痴とかいろいろやり取りしましょうね」 「はい、よろしくお願いします」  こうして星野さんとLINEを交換したことで、毎日やり取りすることになってしまったのだった。

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