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月光 第1話
『今夜付き合って。』
それは何の前触れもなく言われた一言だった。
「いきなり・・・どうした?」
携帯を肩に挟みながら苦笑いで聞いてみる。
『いいじゃん。どうせ夜は暇だろ?』
電話の向こうの相手がクククッと笑う。
何か暇って決め付けて話が進んでるのはムカつくが。
実際、忙しい昼に比べて嘘だろ?ってくらい夜はする事がない。
当たってるだけに反論出来ないのが余計悔しい。
「何かあるのか?」
ネクタイを左手で緩めながら窓辺に佇む。
昨日までの雨が嘘のように抜けるような青空を見上げる。
『ちょっと買い物に。20時に迎えに行くよ。』
それだけ言うと悪友は電話を切った。
まったく・・・
俺は切れた電話を見詰めたまま大きなため息を吐いた。
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