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第2話
午後からの仕事を終わらせて帰り着いたのは悪友に言われた時間ギリギリだった。
「お帰りなさいませ、坊ちゃん。」
昔から風貌の変わらない初老の執事が深々と頭を下げて出迎える。
「坊ちゃんは止めてくれ。」
春物のコートを渡しながら呟けば執事は気にも留めずに満面の笑みを俺に向けた。
「お部屋に李様がお見えです。」
相手の方が上手なのは小さい頃からこの家に仕えてるからだろう・・・
これ以上この古狸を相手にしててもキリが無いから俺は悪友の待つ自室に急いだ。
螺旋階段を上がり無駄に長い廊下を歩いて突き当たり。
重そうな古い扉を開けると、いつもと違う香水の匂いが鼻を擽った。
「早かったな?」
「お帰り。」
窓辺に佇む後姿に声を掛ければ、振り向いて満面の笑顔に出迎えられた。
「何を買うんだ?」
上着を脱ぎながら窓辺に寄り掛かる悪友に聞く。
能天気そうに見えて実は俺より忙しかったりする。
なのにわざわざ家にまで迎えに来るなんて・・・
そんなに大事な買い物なんだろうか?
「ちょっとね・・・準備が出来たら行こうか。」
答えをくれないまま悪友はまた夜空を見上げた。
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