4 / 130

第3話

着替えを済ませると俺達は家を出た。 「今日は世蓮はどうしたんだ?」 いつも寄り添う様に隣に居る姿が無いのに気付いて聞いてみる。 「車で待たせてる。お前んとこの狸ジジイ、世蓮の事毛嫌いしてるからな。」 悪友・李 颯天(い はやて)が肩を竦めて苦笑いを浮かべた。 あの古狸は仕事は出来るが多少頭が固い。 毛色の違う人種はどうも受け入れられないらしい。 「すまないな、嫌な思いさせて・・・」 「気にしないで。孝惟が悪い訳じゃないんだから。」 謝る俺の肩を颯天が優しく抱いた。 「それより急ごう。姫が臍を曲げる前に。」 颯天に促されて足早に車に向かった。

ともだちにシェアしよう!