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第3話
着替えを済ませると俺達は家を出た。
「今日は世蓮はどうしたんだ?」
いつも寄り添う様に隣に居る姿が無いのに気付いて聞いてみる。
「車で待たせてる。お前んとこの狸ジジイ、世蓮の事毛嫌いしてるからな。」
悪友・李 颯天(い はやて)が肩を竦めて苦笑いを浮かべた。
あの古狸は仕事は出来るが多少頭が固い。
毛色の違う人種はどうも受け入れられないらしい。
「すまないな、嫌な思いさせて・・・」
「気にしないで。孝惟が悪い訳じゃないんだから。」
謝る俺の肩を颯天が優しく抱いた。
「それより急ごう。姫が臍を曲げる前に。」
颯天に促されて足早に車に向かった。
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