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月読 第1話
今まで他人に関心なんて殆ど持たなかった。
持つ気さえ無かったのに。
今、腕の中で涙を流すヒロの事が気になって仕方がない。
どうしたら泣き止んでくれる?
どうしたら笑顔を見せてくれる?
そんな事ばかりを考えてしまう。
「逆上せるといけないから上がろうか?」
火照りきったヒロの体を抱き上げて浴槽から出る。
脱衣場で下ろして丁寧に体を拭くとバスローブを着せた。
素早く自分も体を拭いてバスローブを羽織ると、ヒロの手を引いて続きのベッドルームに戻る。
キングサイズのベッドにヒロを座らせるとテーブルの上の水をコップに注いだ。
「少しは落ち着いた?」
泣き止んだヒロにコップを手渡すと視線だけを上げてそれを受け取った。
グラスを傾けて一気に水を流し込むヒロの隣に腰を下ろす。
上を向いた顎から水を飲む喉元にかけてのラインの艶やかさに冷めかけてた体が熱を取り戻す。
ヒロを“商品”として見てる訳じゃない。
でも・・・
あまりにも綺麗で本能的に体がヒロを欲してる。
こればかりは意志とは関係無いから仕方ない。
こんな経験初めてで俺自身戸惑っていた。
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