50 / 130
第9話
「じゃあ夕方。食事の準備して待ってるよ。」
爽やかな笑顔を残して車を降りた颯天の背中を見送って会社に向かう。
いつもと変わらない分刻みのスケジュール。
机の上の書類は山のように積まれ読んでも読んでも無くならない。
それでもヒロが待ってると思うと苦にはならなかった。
今はさっき颯天がボヤいた言葉に共感できる。
家で仕事できたら・・・
もっと仕事も捗るかもしれない。
「何か良いことでもありました?」
それなりに綺麗な秘書が様子の違う俺に聞いてくる。
「うん?まぁな。」
それだけ言って一度上げた視線を書類に戻す。
早く時間が過ぎないかな?
そんな事ばかりが俺の頭を支配してた。
ともだちにシェアしよう!