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月の雫 第1話
時々、貴方が何を考えてるのか分からなくて不安になる。
僕は貴方が居てくれるだけでいいのに・・・
「世蓮、何を考えてる?」
寝てるとばかり思ってた貴方が僕を抱き締め直して項にキスを落とした。
「月が・・・綺麗だなぁと思って。」
大きな窓から見える紅い月を見つめる。
もう少ししたら夜が明ける時間なのに月は輝きを失ってない。
「嘘。違う事考えてる。」
項から肩にプックリした唇を移動させながら見抜かれる本心。
この屋敷に買われてきて数年。
濃い時間を過ごす貴方には隠し事なんて無理なのかもしれない。
「・・・どうして・・・」
「うん?」
「・・・どうしてシアを、僕に?」
胸元まで上がってきた貴方の綺麗な指を見つめて聞く。
“ペット”の僕に“ペット”を充てがうなんて・・・
貴方は何を考えてるの?
僕が嫌になった?
疎ましい?
それならいっそまた『夜来香』に売ればいい。
貴方に・・・颯天に嫌われるくらいなら・・・
知らず知らずの内に僕の心は暗闇に迷い込んでいた。
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