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第20話
熱を増す2人の行為に自分の体温も上がるのが分かる。
やっぱり最近欲求不満だな。
これ以上は目にも体にも毒だから俺は気付かれないように静かにドアを閉めてヒロ探しを再開する。
月明かりの差し込む廊下を宛もなく歩いて辿り着いたのは、広い庭を一望できる無駄に広いテラスだった。
ガラスのドアを開けると見慣れてきた背中があって。
紅く光る丸い月を見上げてた。
「ヒロ。ここに居たのか。探したぞ?」
後ろから抱き締めて耳元で囁く。
夜空を見上げた背中が昔、童話で読んだお姫様みたいに消えそうで怖かった。
「孝惟さん・・・ごめんなさい。」
腕の中で小さく身動いでヒロが腰に回した腕を掴んだ。
月読は美しいものが大好きですぐに月に連れ去ってしまう。
だから俺はその消え入りそうなヒロの横顔を離したくなくて、抱き締める腕に力を込めた。
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