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第7話
それなのに・・・・・・・・・
「颯天・・・僕を1人にしないで・・・」
少し落ち着いた頃、僕を腕に収める颯天の胸で小さく呟く。
また1人で眠る夜が来るなんて・・・
そう思っただけで体が震えた。
「世蓮・・・今回は我慢してくれ・・・俺だって世蓮と離れて眠るなんて寂しすぎるよ。でも・・・」
顔を上げた僕の唇に颯天の唇が重なる。
触れただけのキスをして温もりはすぐに離れた。
「今回ばかりはどうしても俺が行かなきゃいけないんだ。分かってくれるよな?」
髪に、額に、頬に。
颯天の唇が熱を落とす。
貴方が僕に甘過ぎるのは身に染みて分かってる。
その僕のお願いを聞けない程、今度の仕事は重要なんだろう。
「・・・分かりました。その代わり・・・」
「その代わり?」
僕の言葉に颯天の動きが止まる。
「貴方を・・・颯天を忘れないようにしっかり刻んで下さい・・・」
涙目のまま囁けば満足そうに微笑む。
「姫の望みのままに。」
空は漆黒の闇から紫色に染まりだしてるけど。
僕達の夜はまだ明けるどころか深まっていくばかりだった。
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