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第10話
いつも2人で使っている1人では大きすぎるキングサイズのベッドに潜り込む。
微かに残る颯天の香りのする枕を抱き締めて目を閉じれば颯天に抱き締められてる錯覚を起こしそうになる。
「・・・颯天・・・」
溢れそうになる涙を必死に堪える。
鼻の奥がツンッと痛い。
最初からこんなんで大丈夫なんだろうか?
コンコン。
遠慮がちにドアがノックされてドアが開く音がした。
返事をしない僕に気遣ってか足音をあまり発てないで近付くと微かにベッドが重みを感じて小さく軋んだ。
「世蓮。」
布団越しに僕の頭を撫でて名前を呼ぶ。
その少し掠れた声に布団から顔を出す。
「いいこ、いいこ。」
満面の笑顔で僕の茶色い髪をシアが撫でる。
いいこって・・・
思わず苦笑いする。
「僕が側に居るからね。颯天にお願いされたし。」
颯天に?
「何を?」
「世蓮をよろしくって。」
いつの間にそんなお願いしたんだろう?
でもその気遣いが嬉しくてさっきまでのどんよりした気分も忘れて顔が綻んだ。
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