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第15話

瞼を閉じれば浮かぶのは世蓮の顔。 あまり感情を表に出さなくて屋敷に連れ帰った頃は結構苦労した。 それが今じゃあ俺には色んな表情を見せてくれる。 だから少しでも側に居て世蓮の怒った顔や困った顔や微笑んだ顔を見てたい。 今願うのはそれだけ。 「そろそろお昼ですね。どちらでお召し上がりになりますか?」 後頭部に相変わらず無愛想な声が降ってくる。 どちらでって・・・ 「どうせここから出られないんだろ?」 体を起こすのも面倒で俯せたまま答える。 「午後の会議は3時からです。遅れないでくださいね。」 そう言うと机の前にあった気配が遠のく。 言葉の意味が解らなくて顔を上げると秘書殿は部屋を出ようと悪趣味なドアに手を掛けていた。 「おい、金?」 「慣れない場所に1人じゃお可愛そうです。食事は上に用意させましたから。」 振り返らずにそう呟くと有能な秘書は部屋を後にした。

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