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第22話

 琉生の作ったパスタはサッパリしていてとても美味しかった。いつかここを出るその時にはレシピを教えてもらおうと思ったくらいに。  佑里斗はポンポコになったお腹を撫でて「美味しかったぁ」と解顔した。 「よかったよ」 「ご馳走様でした。先輩、今度このレシピ教えてほしいです」 「うん」  肘を着いて柔らかく微笑んだ琉生に少しドキッとして、視線を逸らした佑里斗は勢いよく立ち上がる。 「お皿洗いさせてください」 「あー、じゃあ、お願いします」 「うん!」  空になったお皿を下げ、綺麗に洗っていく。  気分が良くてフンフン鼻歌を歌い、お皿を拭いて棚に戻すと、テレビを見ていた琉生のすぐ傍に何も考えず腰を下ろした。 「ぉ……、どした」 「え?」 「あ……いや、なんでもない。風呂は?」 「先輩が先に入ってください」 「……この番組だけ見たい」 「うん。俺も見たい。これが終わったら先に入ってね」 「わかった」  二人でテレビを見てクスクス笑いながら過ごすゆったりとした時間が、佑里斗にとっては穏やかでとても安らげた。 「そういえば友達とは話せた?」  CMの途中、琉生にそう聞かれてウンウン頷く。 「時間合う時に一緒にお昼行こうって話せました」 「怒ってなかっただろ?」 「うん。安心した」 「よかったじゃん」 「先輩のおかげです。でも話すのすっごく緊張した……」  不安でドキドキしていたのを思い出して胸を撫でる。  すると突然頭を琉生がヨシヨシと佑里斗の頭を撫でて、佑里斗はピシッと固まり顔を赤く染めた。 「頑張ったなぁ」 「ちょっ、せ、先輩! やめてください! はずかしい……!」 「え? あ、悪い」  琉生から距離を取った佑里斗は、両手で顔を覆い隠す。  こんなふうに頭を撫でられたことは無い。  そうして真っ赤になる佑里斗を見た琉生は、少しだけ頬を赤く染めると口元を手で覆った。佑里斗があまりにも可愛く見えて、口元が変にニヤついてしまったのだ。 「ごめん、無意識で」 「いや……えっと、大丈夫、です……」  恥ずかしくなった琉生は、サッと立ち上がるとテレビのことを忘れて「風呂入ってくる」と逃げるように浴室に向かった。  照れて恥ずかしそうにしていた佑里斗に胸がドキドキしてしまう。 「……やべ」  アルファの本能が反応してしまったようで、しばらくその感覚は消えてはくれなかった。

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