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第25話

「起きてー!」 「ん、」  佑里斗の明るい声が聞こえ、それと一緒に香ってきたいい匂いに目を開ける。  ツヤツヤしてる天津飯が美味しそうで、琉生のお腹がグゥと鳴った。 「お待たせしちゃってごめんなさい」 「いや……。めちゃくちゃ美味そう」 「美味しいから食べてね」 「うん。いただきます」  ジッと熱い視線が送られてきたけれど、普段から人に見られることに慣れている琉生は気にせず一口食べて「美味い」と一言呟く。 「よかったぁ」 「ありがとう」 「ううん。足りるかな。餃子全部食べていいからね」 「お前もちゃんと食べなさい」  佑里斗の「はーい」という返事を聞いてから、餃子に箸を伸ばし一つ摘んでそれを食べた。 「明日も帰ってくるの早い?」 「明日はフルで講義あって……ちょっと遅いかも」 「わかった」 「何かありました?」 「何も」  明日は琉生も帰りが遅い。  というのもたまに話す同期から勉強を教えてくれと頼まれたのである。  面倒臭くて直ぐに断ろうとしたのだが、留年したくないと必死でお願いしてきた彼に仕方ないと頷いてしまった。 「明日は多分俺も遅くなる」 「? 講義?」 「いや、同期が勉強教えてくれって……。教授に聞けばいいのに」 「身近にいて、頭のいい先輩に頼りたくなったんでしょ」 「まあ、そっちの方が気が楽なんだろうけどさ」  最後の一口になったご飯を食べ、お茶を飲むと背もたれに持たれてフゥと小さく息を吐く。  そんな琉生の姿を見て、佑里斗は今朝方彼と同学年の人達が話していた内容を思い出した。 「……いいじゃないですか。友達。仲良くしなきゃ」 「友達ってわけじゃないんだけどな」  不服そうに口元を歪めた琉生は、きっと彼らがどう思っているのかなんて知らないのだろうけれど。

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