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第74話

「えー、じゃあ美澄はずっと高津君といるってこと? 高津君はヤじゃないの? 美澄ってあんまり愛想も良くないし、ツンツンしてるし」 「おい、本人がいる前で言うなよ」  松井の言葉に琉生がツッコむ。  佑里斗は思わずクスっと笑った。 「全くヤじゃないです。むしろ一緒に居れて嬉しいです。すごく優しいし」 「……違う美澄の話してる?」 「違くないです。琉生の話」 「え、琉生って呼んでんの?」 「……、間違えた」 「間違えてはないだろ」  松井が驚く隣で琉生は淡々とそう言ってコクコク水を飲んだ。 「美澄ってそんな感じなの? 全然想像つかないんだけど……。優しい? 優しいの?」 「優しいですよ」 「お前ぇ……俺にも優しくしろよぉ……」 「十分優しいだろ」 「えぇ……?」  困惑の表情を見せる松井。  琉生も佑里斗も楽しそうに笑いながら食事を続け、それが終わると二人の先輩は次の講義室まで佑里斗を送ってくれたので、そこで手を振って別れる。  話をしているうちに今日も帰りは琉生と一緒に帰ることになったので、全ての講義が終われば彼に連絡をするつもりだ。  講義室にはまだポツポツとしか人が居ない。  少しの間昼寝をしようと、講義室の隅っこで時間が来るまで机に伏せて目を閉じた。

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