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小児喘息

「ヒューヒュー…っえほ…こほっ…苦しぃよ」 幼いあずさは胸を抱えひどく咳混んでいた。 診断名は〝小児喘息〝 普段はなんともないけど、ひとたび発作がおこると呼吸ができず溺れたような感覚に(おち)いる。 そのたび、病院でやられていたのはステロイドの点滴。 まだ小さな腕は血管が出にくくて手の甲に打たれるんだけど、これが痛くて痛くて… しかも、テープで止められた後に硬い板でぐるぐる巻きにされて手首を固定される。 点滴が終わるまでの約2時間苦痛で仕方なくて泣いてばかりだった。 あまりにも咳がひどくて入院をすすめられたこともあったけど、泣いて暴れて手がつけられなくなり病院側が対応困難になり発作が起こると通院でしのいでいた。 病院は嫌い。 Ωであることが分かってからはますます嫌いになった。 抑制剤のために毎月病院に行くなんて憂鬱すぎる 高校にあがるころには喘息は落ち着いたけど、いまだに病院は怖い… ちなみに両親はオレが20歳になったとほぼ同時くらいに事故でこの世を去った。 遺産は2000万ほどあったけれど、それを知ってか知らずか友人がオレを慰めながらある書類にサインを頼んできた。 傷心のオレはそれが何のサインかなんて考える余裕があるわけも無く、友人に裏切られるとも知らずにすぐにサインしてしまい遺産は一瞬にして消え、500万の借金が残った。 後にサインした書類は2500万の借金の連帯保証人の書類だと知った。 悔しい思いはしたし、その後、半年は悲惨な生活を送ったがある日それが一変した。 龍臣さんと出会ったあの日だ。 はじめての感覚だったけど、龍臣さんに会ってすぐ血が騒ぎたつのを感じた。 はじめてのえっちは痛かったけど…とっても気持ちよくて幸せで満たされた。 そのまま竜胆邸に身を寄せて、誠哉くんっていう可愛い赤ちゃんのママがわりをさせてもらって辛い日々は消え、今となっては両親の不孝も友人の裏切りも必然だったと思えるようになった。 あずさは半生(はんせい)を振り返り、樹医師と紅葉にポツポツと内容を話した。 「そうか…それは辛かったね?あずさくん。今までよく頑張ってきました」 「喘息は辛いよね」 「妊娠期入ったら注意がいるな…。紅葉、みんなに情報共有頼むよ」 「はい、樹先生」 「あずさくん、注射が怖いのはよく理解しました。その頃と違って手の甲にすることはよっぽど無いので大丈夫ですよ」 「本当?」 「はい。前腕の外側…このあたりが痛点が少ないのでここにやりますよ」 樹医師はあずさの前腕にゴムチューブを巻いてあずさの前腕をさすった。

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