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青葉ママ、参上 2
パタパタパタ…っバタン!
廊下を走る音が聞こえ、勢いよく扉が開かれると血相を変えた樹医師が飛びこんできた。
「あずさくんっ。何かありましたか!強烈なΩフェロモンを感じたんですが大丈夫ですか!」
部屋へと入ってきた樹医師は目に飛びこんできた光景に状況を理解し
「青葉さん…あなたが原因でしたか」
「久方ぶりだね?樹せんせ」
「はぁ。やれやれ、あずさくん驚きましたね?問題ありませんか?」
「問題、ある。先生、この人だれ?い、いきなりオレ…イかされちゃった!龍臣さんに顔向けできないよー」
「落ち着いてあずさくん。彼は龍臣さんの親です」
「お、おやぁっ?」
「そんなに驚きますか?」
「え…だ、だって。若い!」
「仕方ないんだよ、僕だって歳相応になりたいとは思っているけど、産まれつき成長が悪いんだもの。あ、そうそうコレ。コレを渡しに来たんです」
ベッドに置いていた袋を青葉はあずさに差し出し
「な、何?」
「龍臣からだよ。全部設定はしてある。使い方は樹せんせにでも聞けばいいよ。じゃ、確かに届けたからね」
「え…設定…?龍臣さんからってどういうこと?コレって何の…箱?」
「携帯電話。僕は行くから後のことはよろしくね、樹せんせ」
「青葉さん、また旅に?」
「本当はそうしたいんだけどね、蒼炎さんが屋敷に寄れって言うんだもの。僕は自由にしていたいのにさ」
「青葉さん、そんなこと言ったら蒼炎さんが可哀想ですよ?蒼炎さんたら青葉さんと離れすぎてΩのフェロモンに引きずられないように抑制剤使ってるんですよ?」
「僕も使ってるよ?」
「と、いうことは…発情期が来ていらっしゃるんですね?」
「参っちゃうよね?跡取りはもう産んだんだし、歳も歳だから来なくていいのにきっちり来るんだから」
「女性のように閉経は無いですからね。周期の間隔が開いて1年以上無い人も中にはいますけど…それはそうとそろそろ定期受診受けてくださいよ?青葉さん」
「いやーだ。樹せんせのところに来るとエコーだの細胞診だの、直腸診だのするじゃないか!あの椅子にはもう座りませんから」
「困った人ですね、青葉さんは」
「ガンになったらなっただし。入院とかまっぴらごめんです。あずさ、婚儀の時にまたね?」
「え…婚儀って…」
「そこまで帰らないんですね、次は。蒼炎さんがお嫌いですか?」
「ううん?だぁいすき。声は毎日のように聞いてるよ。電話ですることだってあるし。じゃあね」
青葉は手をひらひらと振り、颯爽と部屋から出ていった。
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