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第6話

 びりびりと小さな刺激が敏感な尻を揺らし始める。驚いた後孔に力を入れ、そしてみち、とゼリーの頭を出させた。 「あ゛ッ、あ、やだ、でるッ、ぁ、あ゛、あ゛……」  犬養の視線は鏡に向いている。玲央は首を拘束する板が邪魔で下を向けないが、いまもみちみちとひり出されているゼリーが犬養の目には映っているのだろう。  羞恥で全身が熱くなった。止めたいのに力を抜いても入れても、重く硬いゼリーは地面に向かって落ちていく。 「やだ、やだっ、み、みないで、やだッ」 「なんで? 見るし撮ってるよ」  犬養はしゃがんで、玲央の胸元に顔を寄せた。ぢゅ、と音を立て突起を吸い上げる。そして突起を指でこねくりまわし始めた。 「あひッ!? あ゛ッ、あっ、ふっ、ぅんんっ!」  敏感に育てられた乳首は些細な刺激で感じてしまう。乳輪を舌先でくすぐられ、焦れた先端を甘噛みされた。逃げるようにもがくと、後孔からむりゅッとゼリーが押し出される。 「お゛ッ、〜〜ッ! あ゛、おしり、とまんな゛、い゛ッ!」 「おお〜! ゼリー、もうすぐ床に着きそう」  なにが楽しいのか、犬養はにこやかに笑う。そしてその手を勃ち上がってしまった玲央自身に伸ばした。  遠慮なく握り込んでちゅこちゅこと扱き始める。容赦なくイかせようとする動きに、あっという間に玉袋の中で精液たちが暴れ始めた。はやくイキたくてたまらなくなっていく。  同時にゼリーの排泄は勢いが増していった。電気で刺激されて力がうまく入らなくなっている。玲央は排泄しながら絶頂に向かわされていた。 「ぁあ゛ッ!? あっあっだめ! ちんちんっ、あ゛ッ、でるっ、でるっ、おしりがっ、あ゛ッぉ゛ッ!」  我慢することを忘れさせられた玲央自身は、すぐに高まる。ぶるりと竿を揺らし、迫る絶頂に目を瞑った。 「ひっ、い、イ゛くっ、イくぅ゛……!」  なにかが弾けるような一瞬の強い快楽のあと、今度は後孔からぶりゅ、とゼリーが抜け落ちた。ぴちゃ、と嫌な水音が微かに聞こえる。  快楽のせいではない、羞恥で余計な頬が熱くなっていく。 「すっげえ顔にかかっちゃった」  お尻を刺激していた電気が止まる。  顔にかかった精液を拭いながら、犬養は出されたゼリーを玲央が見える場所に持ってくる。たらいに落とされた蛍光ピンクのそれが、玲央がひり出したものだとは思いたくなかった。  恥ずかしさが、涙腺を刺激する。快楽による生理的な涙などではなく、羞恥や苦しさで涙が溢れてくるは幼い頃以来な気がした。  声も出ず、ただ雫が頬を伝う。犬養は冷めた目で玲央の涙を拭うと、一の字にしまった唇にキスをした。 「泣かれてもゾクゾクきちゃうだけだよ、俺」 「ご、ごめんなさい……、これ、いや……」 「嫌なの?」  小さく頷く。  なにをされても良い、嫌だけど、受け入れるしかない。そう思ってきたが、これだけはどうにも耐えがたかった。排泄しながら射精をしてしまった事実にも息苦しくなる。  嫌だなんて言えば、どんなに酷い折檻が待っているかわからない。しかしこれより酷いものはないと思った。 「そっか」  犬養はなにかを考えている。 「じゃあ、嫌じゃなくなるまでしようか」  大人になったら絶対コイツのことを殺してやろうと思った。  たらいをお尻の真下に戻して、犬養は玲央の背後に回る。なにをしているのか気配を探っていたら、案の定、あの注射器が後孔に差し込まれる。  冷たいゼリーがまた腹に溜まっていく。犬養は「今度のは水色にしてみた」などと心底どうでも良いことを言っている。  何本か差し替えられながら、ようやくプラグが差し込まれて頃にはもう腹がぱんぱんに張っていた。 「レオはいい子だからすぐ気持ち良くなれるって」 「ならない……」 「じゃあ気持ち良くなるまで毎週しような」  犬養が背中から抱きついてくる。頸や背中に落とされるキスは優しくて、ご機嫌取りみたいだ。   「暇だね、なにする?」 「仕事でもしてればいいだろ」 「やだよ、レオに構っていたい」  そうだ、と背中から離れ、部屋からも出ていく。  戻ってきたかと思うと、その手にはパソコンとビデオがあった。玲央の視界に入る場所に置いてなにやら操作している。  なにかと思えば、つい先ほどまでの玲央の後ろ姿が写り始めた。  まさかと思わせてもらえる間もなく再生ボタンを押される。始まったのは、玲央がゼリーを排泄してる映像だ。 「目、逸らすなよ」  先を見越した犬養は、玲央をジッと睨んでいた。  液晶の向こうの玲央の尻からは、ゆっくりとゼリーが落ちてきている。あの感触を思い出して、後孔がヒク付いた。 「と、とめて、やだ、みたくない」  醜い姿をこれ以上みたくない。思わず目を瞑ると、すぐに手のひらが飛んできた。頬をぺち、と痛みを伴わない程度に叩かれる。 「見ないとお尻ぺんぺんの刑にしちゃおうかな」 「やだ……! み、みる、見るから!」  慌てて目を開ける。被虐趣味があるわけでもないのに、玲央の尻は犬飼に叩かれると快感を覚えるのだ。尻にゼリーを入れながら叩かれたら、なんて考えたくもない。  犬養は静かに、玲央の尻を撫でた。画面の向こうのお前はここで感じているのだと言わんばかりだ。  画面の向こうの犬養が、玲央自身に手を伸ばす。途端に嬌声は上擦った、感じいった声に変わった。  まるでゼリーを排泄して感じているようだ。映像を見ていると、本当はあのとき、ゼリーの排泄で感じていたのではないかと錯覚しそうになっていく。 「実は結構良かったんじゃない?」  尻を撫で回していた手が、今度は指だけでプラグを咥える後孔の縁をくるりとなぞった。ぞわ、と背筋を走り、それから否が応でも下半身が疼き始める。 「そ、そんな、ことは……っ」  咄嗟に否定するが、次の瞬間画面の向こうの玲央は絶頂を迎えた。ぼとりとゼリーを落とし、快楽に溺れた悲鳴をあげている。 「そんなことはない? 本当に?」  映像が終わり、カメラが回収される。後ろにまた設置しているのだろう。  今度は先に電気パッドの電源が入る。 「あ゛あぅッ!」  プラグをきゅうきゅうに締め付け、紐で固定されていなければ押し出しそうだ。  そして、熟れた両胸の突起をそれぞれ二つのローターに挟まれた。外れないようにテープで固定される。電源が入った途端、骨まで伝える強い振動が敏感な突起を襲った。 「あ゛ッお゛ッ、♡ ふ、ぅうう゛う゛う゛ッ!」  振動が強くなっていく。逃げたくても台に固定されてどうにもできない。ガタガタともがきながら腰を浮かすが、すぐに足の力が抜けてしまった。 「はっ、あ、ぁあ゛ッ、イぐっ、イ゛ぐっ♡」  目の前の絶頂に飛び込もうとしたとき、後孔のプラグが引き抜かれた。はやく飛び出したげだったゼリーが簡単にひり出されていく。 「イ゛ぐ! い、あ゛ッふぅ〜〜ぅ゛ッ! はっ、はっ、イ、イ゛っでる、イ゛ぐ! だめっだめ、ぜり、ぃ゛ッ、でないでっ、お゛♡」 「ゼリー、ひり出しながら感じてるんだ」 「ちがッ……、お゛ッ♡ イぐいぐいぐいぐっ!」 「違わないよね? 出しながらイッてるじゃん」  わからせるように尾てい骨のあたりをべち、と叩かれる。痛みは熱を伴い快楽に変わって、次の絶頂を促してきた。  全身に広がる快感が、どこで感じているのか曖昧にしてくる。ゼリーをひり出しながらイッている、のは決して嘘ではないことを自覚してしまって、また泣きたくなった。 「いぐのとまんら゛ッ、お゛♡ お゛ぉ゛〜〜ッ♡」  胸と尻から全身を蝕む快感に絶頂が止まらない。  そのうちゼリーはずぽ、と抜け落ちる。  玲央はその瞬間も、絶頂の最中にいた。

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