1 / 14

第1話

Black Angelはメジャーデビューし、約3年が過ぎた。 ユウとダイチは再度、同棲を始めた住み慣れた1kの部屋から4LDKの分譲マンションに引っ越した。 ゲストルームもあり、他にもベッドはあるものの、相変わらず、2人の寝室には1kのベッド。 「広いベッドは落ち着かない」 とユウは譲らず、口を尖らせるユウにダイチは苦笑した。 買い物に出かけた2人だが、もうすぐツアーが始まる事もあり、その為の買い物でもある。 面白がって他のメンバーまで着いてきたのだが。 「2人だと週刊誌にでも撮られたら心配だしさ」 とは言うが、 「男同士だし、怪しまれねーだろ。外ではなんもしねーよ」 ユウもダイチも照れ臭くもあったが呆れてそう返す。 「やっぱりアレ?部屋着やパジャマはお揃い?色違いとか?」 ベースのコウに茶化され、ダイチは真顔になりユウは真っ赤だ。 「うーわ、ユウ、顔、真っ赤!」 ユウはドラムのサトルに頬を指さされ、慌てて顔を隠すように両手で熱い頬を押さえつける。 「てか、アレだよな。ラストのドーム終えたら旅行でも行く?」 コウが張り切った明るい声で言う。 そう、マネージャーから随分、働き詰めだった事から、と、ツアーが終わったら長期休暇を言い渡されたのだ。 「んー?それはダイチとユウの邪魔じゃない?」 「あー、ハネムーンてか」 コウとサトルの声に、ユウとダイチは同時に吹き出した。 「....なんだよ、ハネムーンて」 と、眉を寄せるダイチの傍ら、 「....いいかも、それ」 ユウがポツリ、小さく呟き、ハッとした時には既に遅し。 メンバー全員の眼差しがユウに向けられていた。 「じょ、冗談だよ、冗談!ほら、早く行こ!時間、無くなる!」 慌てて、ユウが逃げるかのように足早に歩き出す背中を、ダイチだけでなく、コウとサトルも笑った。

ともだちにシェアしよう!